« 裁判官の声 | Main | イギリス・ブラウン政権の最新の世論調査 »

12/16/2008

ブッシュ政権の8年を振り返ってみて(1)

既に、みた人もいるかもしれないが、ブッシュ大統領がイラクの演説中に靴を投げつけられ、見事かわした映像が流れている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081215-00000065-jij-int

驚きの映像である。私が驚いたのは、このブッシュ大統領な機敏な動きである。近距離から2回も物を投げつけられても平然とそれをかわし、その後の表情も平然としている。また、直後に、「靴のサイズが28cmだった」などのジョークを飛ばす余裕も見せているという。

この他にも、Youtube上では、ブッシュ大統領の面白い映像が多くある。

ブッシュ大統領については、一般的に、批判的な論調が多い。ただ、私は彼への評価はそう簡単にできるものではないと思っている。

8年間も政権にいたのだから、その功罪はたくさんあるだろう。批判的な面はすでに様々な人がメディアなどを通じて発信しているので、私はあえてブッシュ大統領とこの政権を肯定的にとらえて、連載(計4回)という形で、評価してみたい。

今回(第1回)と次回(第2回)は、ブッシュ大統領が8年間も大統領職を全うした理由、特に2回の選挙を同にり切ったのかについて考えてみる。

2000年と2004年の選挙を振り返ることになるが、まず、第1回は、2000年にどうしてゴア副大統領(当時)を下すことができたのかを簡単に検証する。

2000年の大統領選挙では、①8年間のクリントン政権に対する不満が保守系の人々を中心に渦巻いていたことがあげられる。他方で、②リベラル系の人々にとっても、クリントン政権が打ち出してきた巨大な官僚機構と連邦政府のあり方に対し疑問が生じていた。

このような状況で、まず、前者のクリントン政権への不満をもつ保守系を取り込むため、ブッシュ大統領のカール・ローブ選挙対策顧問(当時)は、社会的保守(生活に保守的な価値を見出す人々)の潜在票発掘に尽力した。これが勝利の要因の1つだったといえる。

つまり、そもそもアメリカでは、人口の移動が激しいために、日本のような戸籍制度が存在しないため、行政の国民情報の管理には限界がある。すると、選挙人名簿も国民が自ら登録しなければ、何歳になっても投票権を取得できない。そして、実際の国民の選挙人名簿への登録数(有権者数)は、1億8000万人と言われているが、人口の約2/3以下である。そこで、ローブ氏は、未登録有権者で、かつ、社会的保守の人々や、登録はしていても選挙に行かない社会的保守の人々に着目し、その原動力を発掘したのである。

そして、社会的保守の人々は、保守系の中でも、とりわけクリントン大統領の政策はもちろん、モニカ事件を機に、不道徳なリーダーを毛嫌いする傾向が強かった。モニカ事件を利用する上でも、社会的保守はブッシュ陣営にとって絶好のターゲットであり、忠実な支持層の取り込みが期待できたわけである。

次に、後者のリベラル系で、クリントン政権に対する不満を持っている人をブッシュ陣営はいかに確保したのか。

まず、このグループは、社会的にはリベラルの価値を支持しつつも、連邦政府の介入という点においては、自由主義を支持する人々が多い。

クリントン政権では、自国産業の保護という政策が多く、日本の鉄製品などがやり玉に挙がったことがある。上記グループはこうした政府の介入を好ましく思っておらず、これ以上の民主党による行政には批判的であった。

こうしたグループにとって、ブッシュ陣営の自由主義的な主張はより受け入れやすかったという側面もあり、これらの支持を獲得していったといえるだろう。

以上は、有権者の属性に着目した分析である。

しかし、もっと重要なのは、候補者としてのキャラクターにあったということができるだろう。

まずは、ブッシュ大統領。上記動画でもわかるように、茶目っ気があり、国民に親しみやすい人物像である。悪く言えば、どこにでもいるアメリカ人という性格なのである。

クリントン政権では、リベラルのエリート的な人々が政治の中心で、アメリカの庶民にとっては、どこか置いてけぼりという感情があったのだと思われる。そんな中、ブッシュ大統領のキャラクターが、有権者に、親密感を与えたのではないだろうか。

他方、ゴア副大統領は典型的なエリートというキャラクターで、どこかお高くとまっているという印象を与えてしまった。

すなわち、ブッシュ陣営は、従来のリベラルVS保守という対立構造を、候補者のキャラクター重視の選挙戦略で、エリートVS一般国民という対立構造に転化させて、選挙戦を勝利したというのが私の分析である。

そして、このキャラクターは今も健在だということが、上記動画からも明らかだろう。

次回は、2004年の大統領選で、民主党ケリー候補に勝利した理由を検討してみる。

|

« 裁判官の声 | Main | イギリス・ブラウン政権の最新の世論調査 »

アメリカ政治」カテゴリの記事

Comments

私も、この映像をテレビで見ましたが、ブッシュ大統領は特段ビックリ驚く様子もなく、意外と冷静に振る舞っていて大したものだ(?)と思いました。
1年程前でしょうか、ライス国防長官が米国議会の公聴会にて反戦NPOの活動家に襲われたときの映像も見たことがあるのですが、ライス氏も、襲われた後、全く動じることなく、平然とスピーチをしていて、さすがは「世界最強の女性」と言われるだけあるなと妙に納得した記憶があります。

Posted by: やまだ | 12/16/2008 at 01:24 AM

ライス氏にそういう過去があったんですか。coldsweats01
こうした危険に遭遇した状況で、平常心があるかのように装えるのは感心します。

ブッシュ大統領の話は、インターネット上で靴投げゲームにもなっているようですね。いずれにしても、よくかわしたと何回見ても思います。

個人的には、セキュリティーが甘いのではないかと思います。ああいうことが起こりえる状態だったということも驚きです。

また、どのような感情を抱いていようとも、ああいう形での抗議は納得しかねますね。

Posted by: ESQ | 12/19/2008 at 07:54 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/530145/43432418

Listed below are links to weblogs that reference ブッシュ政権の8年を振り返ってみて(1):

« 裁判官の声 | Main | イギリス・ブラウン政権の最新の世論調査 »