企業のコンプライアンス意識欠如の一例
一時期、会社法が改正されたあたりに、コンプライアンスや内部統制という話が話題になったのを覚えているだろうか。これは、今でも重要な企業にとっての要素であり、特に経営者にこの意識の欠如があると、社会的にも問題が大きくなる。
そして、コンプライアンスというのは、法令遵守であることはもちろんのこと、社会的な責任に対する遵守意識というのも求められる。
会社法上、取締役には、善良な管理者たる地位からの注意義務が要求される。つまり、取締役は法令違反がないことだけでなく、企業の運営における適正な監視義務をも負っている。
食品偽装問題で、サラダの日付けの改ざんを行っていたという報道がされてから、まだそれほど久しくはないが、やはりマクドナルドの場合は企業体質にそういったコンプライアンス意識に欠ける土壌が未だあるのかもしれない。
同じCEOの下で、このような不祥事が2回もあることはその責任は重たいのではないだろうか。監督義務を尽くしていないと株主に言われても仕方ない気がする。
この写真をみると、マクドナルドの経営者は消費者、ひいては株主をナメているのではないかと思ってしまう。
マクドナルドがサクラで行列演出? 新商品先行販売で
12月25日22時56分配信 産経新聞日本マクドナルドの新作ハンバーガーの近畿先行販売が御堂筋周防町店(大阪市中央区)で始まった23日、同社側が雇ったアルバイトが行列に加わり、商品を購入していたことが25日、分かった。客の長蛇の列が話題になり、同社はこの日の同店の売上高が1店舗としては過去最高を記録したと発表していた。同社は「意図的に行列をつくるつもりはなかった」と説明しているが、消費者らからは作為的な話題作りとの声もあがっている。
先行販売されたのは、ハンバーガーのビーフパティ(牛肉部分)が従来の2・5倍になった新商品「クォーターパウンダー・チーズ」。23日にプロゴルファーの上田桃子さんらを招き大々的にPR。店前には徹夜組も含めた長蛇の列ができ、1日で約1万5000人が来店、1店舗の店舗売り上げ高としては過去最高の1002万円を記録したと発表していた。
同社の説明によると、アルバイトは同店のサービス内容やこの商品に対する客側の反応を調査する目的でマーケティング会社に依頼。この会社が大手派遣会社「フルキャスト」に、キャンペーンスタッフの名目でモニター募集を要請していたとしている。
フルキャストが行ったアルバイト募集は「楽チン!新商品を並んで買って、食べるだけのお仕事!」とし、新商品発売に伴い、支給されたプリペイドカードで、飲食店で商品購入を行う内容。雇用されたアルバイトは約1000人で、このうち約300人がハンバーガーの味や接客などに関して5段階で評価するアンケートに答えていた。時給は1000円だったという。
日本マクドナルド・コミュニケーション部は「モニタリングは“サクラ”ではなく、故意に来店者数を操作する意図はなかった。1000人分の売り上げは50万円ぐらいなので、それを差し引いたとしても、過去最高の記録は覆らない」としている。
一方、アルバイト派遣を請け負ったフルキャストは「あくまで新商品を購入してアンケートに答えるモニタリング調査だった」としている。
25日に同店に客として訪れていた大阪府東大阪市の男性会社員(22)は「話題作りをしようとしたのだろうが、バイトがいたなんて信じられない。お金を払って買ったのがばからしい」と話していた。
◆テレビプロデューサーでタレントのデーブ・スペクターさんの話 「マックは安価で量も多く不況に強いファストフードなのだから、こんなことまでして売り出す必要はなかったはず。後から『ギャグでした』と公表するつもりだったら許せるけど、子供にも人気があるんだからやっぱりうそはいけない。マックを愛する僕にとっても非常に悲しい話だけど。それでも僕は行くつもりだけどね」
◆企業会計に詳しい宮本勝浩・関西大学大学院教授(理論経済学)の話 「モニタリング調査は何十人かを事前に募集して商品を試してもらいアンケートなどに答えてもらうやり方が一般的で、今回のフルキャストの手法は正しい調査とはいえない。1000万円という売り上げを大々的に宣伝しており、かなり作為的で信用を失墜させる。マクドナルドの今後の売り上げにも影響しかねない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081225-00000619-san-soci
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