報道機関の資質
この記事に対し、私は、「節度ある報道、どこへ?」と問いたい。
京都家裁の対応は至極当然のものである。捜査段階から加熱したメディアスクラムの方が問題だろう。隠蔽しているとかそういう話ではないと思う。
この記事に関わらず、あらゆる場面で、とにかく報道することが大事というような無節操なメディアの姿勢が物事の本質を捻じ曲げている気がする。
最近のマスコミの大柄な態度を見ていると、「椅子のない会議室」というくだりがあるが、マスコミ様には椅子を用意しろということなのだろうかとさえ思ってしまう。
<偽造判決文>書記官文書偽造 京都家裁だんまり 「敷地内入るな」 開かれた司法どこへ
12月11日17時25分配信 毎日新聞
偽の判決文で凍結解除された銀行口座から現金が引き出された事件で、埼玉県警に偽造有印私文書行使容疑で逮捕された裁判所書記官、広田照彦容疑者(35)=京都市伏見区=が勤める京都家裁が沈黙を守り続けている。書記官の立場を利用した疑いが濃厚となり、家裁にも説明責任が生じているが、記者会見はおろか事件に関する取材は一貫して拒否。裁判員制度の実施を前にアピールしている「開かれた司法」とは裏腹な旧態依然の体質に批判の声が上がっている。【熊谷豪】
「捜索は受けたが、逮捕されるとは限らないので一切コメントできない。閉庁日なので敷地内に入らないでください」。7日午前8時すぎ、埼玉県警が京都家裁を家宅捜索したことを受け、報道陣が宿直出入り口に詰めかけた。西村則夫所長による説明を求めたが、前田利範・総務課長補佐は拒絶した。
県警が同日午後6時20分、逮捕を正式発表した後も「上級庁を通じて確認中」として応じない。午後9時になって、報道陣が集められたのは机も椅子もない会議室。家裁は「会見ではない」という理由で撮影を拒否し、カメラを置いて入室するよう求めた。
家裁側、報道陣とも室内に立ったままの状態で、前田課長補佐が「極めて遺憾」とする所長コメントを読み上げ、広田容疑者の裁判所での経歴を説明。所長は庁舎内にいたが「事実関係が明らかでない」の一点張りで姿も見せなかった。
報道各社はその後も連日のように取材しているが、家裁は事件にかかわることは一切「ノーコメント」。広田容疑者が起訴された際には所長が会見するよう要望しているが、家裁は「方針は未定。ご要望としてお聞きする」と言うのみだ。
最高裁は「そもそも最高裁がコメントすべき事項とは思わないが、京都家裁では、捜査中で事実関係も明らかになっていない現段階では記者会見は差し控えたいと対応したということであり、この対応が不相当であったとは考えていない」とコメントした。
話し多少それるが、私がマスコミのこうした姿勢に疑問を感じるのには理由がある。それは、マスコミは自らの不祥事には一切鋭い詰問をしたり、事案の解明を尽くさない点である。
例えば.....
- 自社の局アナによる不倫、横領報道、痴漢報道は追及されたのだろうか。
- 自社の社員によるインサイダー取引について、その真相は十分に追及されただろうか。
- 自社のブロデューサーによる暴行行為、痴漢行為の追求は十分だろうか。
- 自社社員による変態記事を何年も配信していたことに対する真相追及は十分になされたか。
- 自社のキャスター、さらにはオーナー的地位にある者の不適切な発言をマスコミは批判的に検証しているのか。
<傷害>読売新聞次長が酔ってラーメン店員暴行 容疑で逮捕--大阪府警天満署
12月16日16時56分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000042-maiall-soci
読売新聞大阪本社の地方部次長(45)が15日深夜、大阪市北区のラーメン店で男性店員にけがをさせたとして、傷害の疑いで大阪府警天満署に現行犯逮捕されていたことが分かった。同署によると、次長は容疑を認めているという。調べでは、次長は同日午後10時20分ごろ、ラーメン店で酔って寝入り、店員に起こされて支払いを求められたところ、怒って店員に暴力をふるったという。店員は軽傷。
◇読売新聞大阪本社広報宣伝部のコメント
社員が逮捕されたことは誠に遺憾で、深くおわび申し上げます。事実関係を確認したうえで厳正に対処します。
私は、メディアがあたかも国民の知る権利に資する重要な機関であるというような趣旨で権利主張をするとき、いつも以上のような点について疑問を感じてしまう。
日本のメディアも、偉そうに報道する割には、他の多くの企業と同じで、コンプライアンス意識が低く、自戒ができず、自浄作用が十分に機能していないのではないだろうか。
国民の代表や世論の代表を自称するのであれば、もう少し、法令遵守意識を高めてもらいたい。
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