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December 2008

12/31/2008

2008年最後のニュース評論(イスラエル・パレスティナ問題)

2008年(平成20年)も残り24時間を切った。今年最後の記事を何にしようかすごく悩んでいる。というのも、暗い話や重たい話ばかりについて記事にしてきたので、最後くらいは明るい記事がいいのかなとも思ったりしたからである。

しかし、2008年の表す漢字が「変」だったことを考えると、確かに変えるという肯定的な意味がある一方で、やはり世界全体が「変」な方向に行っているのではないかと危惧する気持ちが強くなった。

そこで、このブログのテーマでもある既存メディアとは一線を画した情報の発信という点に立ち返って、以下の記事を触れつつ、最後のブログを締めくくりたい。

カザ空爆というニュースは過去10年以上の間、何度も耳にしている。どうも日本にとってはこうした、イスラエル・パレスティナ情勢というものについては、『遠くの出来事』であって、関心は薄いだろう。

私はアメリカとイギリスの両方に住んでいたことがあるが、前者のメディアではイスラエル寄りの視点からこの情勢が常に伝えられてきたし、後者のメディアでは、パレスティナ寄りの視点から報道されてきた。

はっきり言ってどっちが悪いということはニワトリが先か卵が先かという議論のようなもので、様々な利権や感情が複雑に絡んでおり、簡単に判断がつく問題ではない。

結局、この問題は宗教問題に行きついてしまう。イスラム教とユダヤ教との対立軸の中に、ユダヤ教迫害に対する反省の歴史観が強いキリスト教がユダヤ教へ一定の理解を示しているという説明がもっとも単純な図式だろう。

そして、アメリカにはユダヤ人人口がある程度いるため、親イスラエル的立場になる。

他方、イギリスはイスラム教徒の移民も多いことや過去に、 アラブの中東独立を認めるフサイン・マクマフォン協定や、ユダヤ人による中東支配を認めるバルフォア宣言、フランスとの中東分割を約したサイクス・ピコ協定など優柔不断な外交政策に対する反省から、親パレスティナ寄りになる。

つまり、ユダヤ人とアラブ人により、中東をめぐる独立国家の建設とそれに伴う利益配分をめぐり、イスラム過激派による日常的なテロとイスラエルのタカ派による報復攻撃が繰り返されているのが現状である。

なので、どちらが悪いとか単純に判断すべき問題ではない。ただ、今回注目すべきは、アメリカだけでなく、イギリスやドイツ、イスラエルに一定の理解を示していること、さらには、親パレスティナのエジプトやパレスティナ政府自身が非難の矛先をイスラエルではなく、イスラム原理主義組織のハマスに向けている点である。

ある程度国際政治に知識のある人間であれば、十中八九は、パレスティナ内のイスラム原理組織のハマスを何とかしなければ、和平は難しいことを認識している。

他方で、イスラム原理主義の攻撃が続けば、イスラエルがタカ派に転じ、さらなる軍事的緊張が高まる。イスラエルも1993年に和平合意の調印がなされたラビン首相(左派・労働党)が1995年に暗殺されると、それを引き継いだペレス首相は次の選挙で、タカ派のリクード党に敗れ、ネタニエフ首相やシャロン首相などが対テロ政策で成功しつつも、両国の関係は改善せず、逆にパレスティナでのハマス勢力の拡大につながっている。

つまり、イスラエルが対テロ政策を強めれば、パレスティナ内でのテロ組織であるハマスが逆に支持され力をつけるという構図がある。

現在、イスラエルはオルメルト首相であり、中道政党のカディマに属している。また、パレスティナ自治政府はアッバス大統領であり、和平には積極的であるものの、パレスティナ内のハマス勢力を抑えることができず、対応に苦慮している。

ハマスも貧困層が支持しているため、議会の過半数を得ている。これが事態を混迷させており、テロ組織であるため、アッバス大統領など政権の中心である左派政党ファハタと一時期は連立するが、結局連立は失敗した。

以上のように、この問題にどちらが悪いということはいえない。両国内でも努力しているリーダーはたくさんいる。しかし、言い方は悪いが無知な貧困層が報復感情などから殺戮を好み、テロ組織のハマスや強硬派のリクードを支援してしまうため、いつも和平プロセスが頓挫している。

私は、この問題を耳にすると、いつも永遠に解決できないのではないか、人間の本質的な性悪説を物語っているのではないか、合意や法というものが機能しないのはなぜなのか、などと様々な考えを巡らせるが、何が有効な手段なのか全く思いつかない。

確かに、法律を専門としていると、ルール(規範)をもとに事案の解決を図ろうとする癖があるため、このような規範といえる規範が機能しておらず、解決策の見えない問題については考えても無駄のように感じることがある。しかし、それでも私はこの問題への関心は失わないようにしている。

日本ではこの問題についてあまり報道されず、空爆があった、テロがあった、何人死んだ、抗議デモがあったというような単純な報道のみがニュースとして流れるだけである。また、取り上げられる抗議デモも、空爆をやめるべきという単純なもので、本質的な解決をどう図るべきかは全く語られない。

世界第二位の経済大国であるならば、単に恐慌だ恐慌だと騒ぐ報道や、一方的に空爆をしているイスラエルの悪質性を強調する報道だけでなく、何が問題の本質なのかを公平な視点から考え、日本が政治的に何ができるかという深い分析をした報道番組があってもいいと思うのは私だけだろうか。

それができないメディアの現状をみると、非常に稚拙で自己満足な無責任主義がはびこっていると情けなくなる。

<ガザ空爆>負傷者「市民に被害」証言
12月31日1時17分配信 毎日新聞

 「イスラエルはガザの若者全員を殺りくしようとしている」。イスラエルのガザ空爆でエジプト側に搬送された患者や家族が訴えた。患者らは30日、イスラエルの標的がイスラム原理主義組織ハマスを越え、一般住民へと拡大していると強調した。【イスマイリア(エジプト・スエズ運河西岸)高橋宗男】

 ガザとの境界から約200キロ南西のエジプト・イスマイリア。「やつらはモスクを破壊した」。30日午後、スエズ運河大学病院に運び込まれたガザ地区の警官、ムハンマド・ケトナリーさん(29)は、苦痛に顔をゆがめた。

 イスラエル軍は27日午前に約30カ所への同時空爆を始めた。ケトナリーさんは若手警官を訓練中だった。後輩の多くは死亡した。

 同じ警官のラシャド・アブフジャイヤさん(22)は警察庁舎で空爆を受けた。がれきの下敷きとなり両足は粉々に砕け、一緒に朝食をとっていた同僚6人は死亡したと聞かされた。エジプトに搬送後、それまで入院していた病院が空爆されたと知った。「連中はモスクで礼拝中の人たちも空爆した。ハマスを支持する市民はみな標的にしている」と、イスラエル側の「無差別攻撃」を非難する。

 イスラエル側はハマスが標的と強調するが、市民の被害は明らかだ。警察署向かいのイスラム大学に通うムハンマド・ハティーブさん(22)は友人5人とともに警察署を狙った空爆に巻き込まれ、友人3人は死亡した。

 父親のハフェズさん(59)は「若者たち全員が狙われている。イスラエルはパレスチナの将来を担う世代の抹殺を進めている」と語り、息子をいたわった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081231-00000007-mai-int

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文明の衝突の著者サミュエル・ハンティントン氏が逝去

文明の衝突でしられる、サミュエルハンティントン氏が亡くなられたそうだ。かつて、国際政治などを勉強したことがある私にとっては衝撃的なことだった。

2008122800000020maipsociview000_2同氏の著書である『文明の衝突』には、批判の声もあれば、肯定的な意見もある。しかし、彼の著書が革命的な議論を巻き起こしたことは事実であり、貴重な著書であったと思う。

文明の違いからくる衝突という視点から国際政治をひも解いたのは斬新であったし、それ以前には、体系的にそうした視点を説明した著書は珍しく、国際政治を学んだ者のほぼすべての人間がハンティントン氏の思想に触れたといっても過言ではないだろう。

同氏の『文明の衝突』理論に対する個人的な評価であるが、総論としては、外交や国際政治を文明という大枠で整理した点については、とても重要な業績だと思うし、その部分についてはとても評価している。また、国際的な対立軸が冷戦後は文明の違いによるものに変わったという整理は正しいと思う。

ただ、各論に当たる各文明の理解には、ややハンティントン氏の知識的な限界があるようにも感じていた。

というのも、もちろん、8つに分けられた文明の1つである日本文明に対する誤解があると思うことである。まず、同氏は日本が中国文明のHybrid(雑種・混合)という説明をしている。しかし、これは日本の開国・文明開化以前の歴史に基づいており、近代および現代の日本(どっぷり西洋文化に使った生活スタイルと思想への影響)を正確にはとらえていない。

また、日本が物質的な国力増強のための外交戦略を重視しており、日米同盟を破棄して、中国との同盟があるだろうという予測をしている。しかし、これについても、バブル崩壊以降の日本の唯物主義への反省と、スローフードやスローライフに代表される精神的な充足感への転換、さらには、会社への帰属意識の低下、企業の人材軽視の動きなどをとらえきれていない。そして、日本社会が西洋的な民主主義・自由主義思想に独占されていることへの分析を欠いていたように思える。

ましてや、中国との同盟はありえない。最近の食品偽装問題ではっきりしたが、明らかな民度の違いがある。食の安全が当たり前の日本と、毒餃子や毒ミルクが流通する中国とでは、文明的な意識の差がある。さらに、反日教育がなされている中国とそれを知っている日本とでは真の相互理解には相当な軋轢がある。

例えば、中国が南京大学殺の話を持ち出すたびに、日本人の多くは、嫌な気持ちになる。中国国民は「反省」を日本に対して促すが、我々は「もっと建設的な話をすべき」と考え、「どうして中国は過去の日本の間違いばかり指摘して将来を見ないのか」と思う。

他方、原爆投下の問題について、通常の日本人は「原爆投下は残酷な惨事をもたらした。絶対に繰り返すべきではない」と考えても、アメリカ政府に対して、「原爆を落としたことの責任を取れ」と運動を起こしたり、ましてや、大使館やアメリカ関連施設に対する暴動行為を起こすことはない(もっとも、一部の左翼的思想で活動されている方の中にはそういう方もいるかもしれないが)。

そして、仮にアメリカの国力が落ち、仮に日米同盟の危機にいたっても、日本は中国と手を組もうとはしないだろう。むしろ、イギリス、ドイツ、フランスなど欧州やオーストラリア、ニュージーランド、カナダなどやはり西洋文明国との連携強化を模索すると思う。現に、保守の代表格である安倍元総理もオーストラリアとの軍事的連携を模索していたといわれている。

つまり、現代の一般的な日本人にとっては、欧米文明に対する親しみや安心感の方が強く、中国文明に対する警戒感の方が大きい。こうした日本人の心理をハンティントン氏は読み切れていなかったと思う。

他方で、私はイスラム文明と西欧文明との衝突という点の説明はなかなか鋭いと感じている。イスラム文明はどうしても特異な部分があり、西欧文明や日本文明からは理解しがたいことが多い。

例えば、1991年に起きた悪魔の詩事件は、イスラム文明が理解しがたい宗教観に成り立っていることを世界に知らしめたと思う。日本でも、翻訳者の五十嵐一が刺殺され、2006年に時効が成立したことなどは記憶に新しい。

仮に、イスラム関係者の犯行であったとするならば、自分たちの宗教に批判的な文書を翻訳したから殺すという思想は到底理解できないし、理解する必要もないと考えるのが、民主主義・自由主義の精神に立脚した欧米社会および日本社会であるといえるだろう。

その意味で、イスラム文明と西洋文明には本質的に相互理解の障壁が存在するという同氏の指摘は正しいだろう。

いずれにしても、ハンティントン氏の業績は国際政治学の発展において重要な役割をになっていたと言っても過言ではないだろう。

「文明の衝突」ハンチントン氏が死去 宗教・文化の対立“予言”世界で論争
12月29日8時3分配信 産経新聞

 【ニューヨーク=長戸雅子】冷戦終結後の世界での宗教や文化による対立を警告した著書、「文明の衝突」で知られる米国を代表する政治学者、サミュエル・ハンチントン氏が24日にマサチューセッツ州マーサズ・ビンヤードの介護施設で亡くなっていたことが、27日、明らかになった。81歳だった。ハンチントン氏が58年間、教鞭(きょうべん)をとっていたハーバード大学が同大サイトで発表した。死因は明らかにされていない。

 冷戦終結後の1993年に米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」で発表した論文をもとに96年に出版した「文明の衝突」で、世界の紛争はイデオロギーから文化や宗教の違いによる対立を要因とするようになると指摘。米国を含む西欧やイスラム、日本、中国など世界は8つの文明圏に分かれ、相互の争いや対立は不可避になると論じ、世界的な注目を集めた。

 とくに2001年の米中枢同時テロ後は、イスラム諸国と西欧との関係をめぐって米国内で幅広い論争を引き起こした。

 また、04年の著作「分断されるアメリカ」では、メキシコからの大量の移民が米国の伝統やアイデンティティーに危機をもたらす恐れを予測し、こちらも論議を呼んだ。

 1927年、ニューヨーク市生まれ。飛び級で18歳でエール大学を卒業した。ハーバード大学で50年から2007年まで教職についていたほか、1977~78年に民主党のカーター政権で国家安全保障会議のメンバーも務めた。共著を含め17の著作、90以上の学術論文がある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081229-00000062-san-int

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12/30/2008

知っているようで知らない歌詞の由来

今年は色々な事件やニュースなどがあった。なんとなく、暗い一年だったように感じる。おそらく、10月位に始まったアメリカでの経済不安が世界恐慌にまでつながったことに端を発しているのだろう。

アメリカといえば、アメリカ国歌を聞いたことがない人はいないと思う。北京オリンピックの水泳競技では、マイケルフェルプス選手の活躍で、何度も流れていた。

ただ、歌詞を知っている人は少ないだろう。いつも重たい記事が多いので、雑学的な軽い記事として、アメリカ国歌は何を歌っているのか紹介したい。

おお、あなたは見ることができるか、夜明けの早い光によって、
あんなにも誇らしく、私たちが黄昏の最後の輝きで歓呼して迎えたものを?
誰の広い縞と明るい星が、危険な戦いを通して、
私たちが見た城壁の向こうに、あんなにも雄々しく翻っていたか?
そしてのろしの赤い眩しい光、空中で炸裂する爆弾が、
私たちの旗がまだそこにあるという証拠を夜を通して与えた。
おお、その星条旗はまだ翻っているか、
自由の土地と勇者の故郷の上に?

敵の傲慢な軍勢が恐ろしい沈黙の中で休息する
深みの霧を通しておぼろげに見られる岸で、
そよ風が、そそり立つ絶壁の向こうに、
気まぐれに吹きながら、今は隠匿し、今は露出させているものは何か?
今、それは朝の最初の光線の煌めきを捕らえ、
反射される満ちあふれる栄光で、今、流れの上に輝く:
それは星条旗だ! おお、長くそれが翻らんことを
自由の土地と勇者の故郷の上に。

そしてあんなにも自慢げに誓ったあの一団はどこか
戦争の荒廃と戦闘の混乱が
故郷も国も私たちにもはや残さないだろうと!
彼らの血は彼らの不潔な足跡の汚れを洗い流した。
避難所は彼らの雇われ人と奴隷を助けられなかった
敗走の恐怖と墓の暗闇から:
そして星条旗が勝利の中で翻る
自由の土地と勇者の故郷の上に。

おお、このように常にあらんことを、自由人たちが
彼らの愛される家庭と戦争の荒廃の間に立つであろうとき!
勝利と平和で祝福されて、天に救われた土地が
私たちに国家を作り保護してきた力を称賛せんことを。
私たちは征服しなければならない、それがまさに私たちの主義であるときは、
そしてこれが私たちの標語であらんことを: 「神の中に私たちの信頼はある」。
そして星条旗は永遠に翻るだろう
自由の土地と勇者の故郷の上に!

(和訳はこちらより転写)

一目してわかるように、戦争の歌である。これは、ジェームスマディソンアメリカ合衆国第4代大統領のときに行われたイギリスとの戦争をテーマに描かれたものである。

ワシントンDCに近い、メリーランド州のボルティモアにあるマクヘンリーという小島。ここで、アマチュアの作詞家(詩人)であったフランシス・スコット・キーが、目撃した情景を詩にしたものだといわれている。

戦争で砲弾が飛び交う中、それでも星条旗がはためく姿を描いている。

さて、この場所に私もかつて行ったことがある。写真は当時私が取ったもの。

             Fort_misck_henly

というのも、最初はボルティモアオリオルズの試合を見に行ったときに偶然アメリカ人の友人が教えてくれて、その場所とアメリカ国歌の関係を知ったのである。

オリオルズというのは、メジャーリーグのア・リーグのチームで、現在は殿堂入りしたカル・リプケン選手などが当時所属しており、その試合を見に行った帰りに、アメリカ国歌のモデルになった場所が近くにあると教えてもらい、見に行った。

日本の国歌には、こうしたモデルになった場所などはないため、とても驚いたことが記憶に新しい。写真もとてもよく取れて、なにか星条旗の上の雲が当時の大砲を思わせる感じがして気に入っている。

海外にいくと、こうした思いがけない発見をすることが多い。もちろん、旅行で十分な下調べをしていく人なら当然わかるのかもしれないが、私は結構現地の友人に任せることが多いので、こうした発見があるととても感動する。

ちなみに、水泳のマイケル・フェルプス選手もこのボルティモア出身である。

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12/29/2008

マクドナルドによるアクセス急増

またアクセス数が急増しているので、驚いたら、やはりヤフーニュースの関連ブログとして取り上げられたらしい。これを機にこのブログの記事に関心を持ってくれる人がいるとすれば、ありがたいことである。

このブログで様々な問題を取りあえげているが、その都度、関係者からのアクセスもあるので、記事の書きごたえもあるというものだ。

今回のアクセス数が増えたのは、やはりマクドナルドの記事にリンクが貼られたからというのが原因のようである。

そこで、マクドナルドに関する話をもう1つすることにする。

管理人のブログにケンタッキーのリンクがあることから、ある友人に、「マクドナルドは嫌いだから厳しいコメントを書いたのか?」とたずねられた。

全くもってそんなことはない。なので、今回は違う視点からもう少しこの問題について述べてみたい。

昔のマクドナルドは比較的評価してた。アメリカの本場のマクドナルドと違い、日本のマクドナルドのスタッフは、スマイル0円に代表されるようにスピーディーで、気さくな対応をしている。アメリカのファストフード店のスタッフの多くは、やる気がない、いかにも面倒くさいといった対応をし、ハンバーガー1つ買うにしても、長蛇の列になり、10分以上かかることもある。この違いは日本が世界に誇れるサービス力の代表例だと常々思ってきた。

また、積極的に高齢者のスタッフなども採用し、お婆さんのような方もてきぱきと仕事をしている姿を見たときは、元気づけられる瞬間でもあった。

しかし、そうした大勢のスタッフ個々の努力を踏みにじるような決断を経営者はしてしまったのではないか。

マクドナルドをはじめとする外食産業が厳しい状況にあるのはわかるが、利益追求の利益が短期の金銭的な利潤の追求になってしまい、企業として一番重要な意識であるコンプライアンス意識がおろそかになってしまっていると私は思う。

もちろん、接客をするスタッフや従業員は、給与もそんなに高くないのに一生懸命働いている。この労働意欲の高さは日本人特有のもので、誇るべきものだが、海外、特にアメリカなどにいけば、同じように安い給与であれば、一生懸命働く人の方が珍しい。

吉兆のおかみがのれんに胡坐をかいていたと反省しているように、マクドナルドの経営者は、従業員の労働意欲の高さに胡坐をかいているのではないだろうか。

賞味期限の偽造などは外食産業としてあってはならない根本的な間違いである。また、労働者に対する評価が低いから労働基準法違反の就業規則などを定め、時間外の未払いなどの問題が生じる。そして、話題性をとにかく作りたいとなりふり構わない姿勢で、サクラを用意する。

これでは、消費者はもちろん、会社の下で働いている従業員に対しても失礼極まりない行為だろう。株価が下落したのは市場によるまともな判断だと思う。すくなくともこの事態を機に取締役会は代表取締役の責任を問うべきだろうし、取締役会が機能しないのであれば、監査役が責任追及の訴えなどを提起するなど経営者の責任をあぶりだす自浄作用に期待したい。

それでもだめなら、株主による代表訴訟などで、責任を明らかにするということも考えるべきだろう。

特に今回を含め、一連の不祥事については、賛否あるかもしれないが、私は口に入るものを扱う企業だけに、より高い倫理感が要求されることになると思う。

消費者や市場関係者は、マクドナルドという企業がどのような自浄作用を働かせて、対処するのかしっかり注目する必要があるだろう。

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12/28/2008

アメリカ人に問う―オバマ次期政権の経済政策の問題点

このブログで以前から、次期アメリカ政権の経済政策には疑問があることを指摘してきた。

それを、アメリカ人で、大学院で世界経済を勉強している友人にこの疑問をぶつけてみた。

彼の政治思想は中立ではあるが、どちらかといえば民主党寄りなので、オバマ政権の政策を批判することには多少気が引けたのだが、帰ってきた回答は意外だった。一部抜粋して紹介する。

I agree with you. Everyone thinks an economy can be manipulated using politics and monetary policy, but the truth is the economy only does well when the productivity of its people increases. I think that is what you referring to. Building the skills of the workforce...developing new ideas....new products....People want fast progress so the governemnt acts by increasing debt, but in the end it weighs down the productivity in the long term by reducing private investment in ideas and new products as the country pays off the interests on its debt.

I do think we must preserve our environment along the way so that we don't have economic collapse because of resource degradation...but I don't think environmental protection is going to be the source of economic progress. It will only be expensive to protect the environment, not profitable, so people will have to become more productive to offset the cost.

要は、私の主張を全面的に受け入れてくれたのである。彼の上記意見の要約は以下の通り。

多くの人は経済を政治や金融政策で巧みに操作できると考えているが、実際には経済が好転するのは、国民の生産性が向上したときだと思う。君の指摘はこのことだろ?労働者の職能技術の向上、新しいアイディアや商品の開発。

国民はすぐに経済の回復を望み、政府は財政出動という措置をとる。でも、結局これは、長期的に見れば、新しいアイディアや商品開発に対する民間投資を減らし、国家の借金を作るだけだよね。

僕は、環境保全は、資源不足による経済破綻ということを避けるためにも、すべきだと強く思うけど、環境保全は経済成長に資するものではないと思う。環境保全はコストがかかるだけで、経済的な利益は生み出さない。むしろ、環境保全にかかるこのコストを賄うためにも、アメリカ国民の生産性を上げないといけないんじゃないかな。

意外な反応だった。というのは、彼を含めてアメリカ人は未だに自分たちには生産性があると思っているだろうと予測していたためである。

さすが、有名大学で世界経済を勉強しているだけある。それこそ、「客観的にみることができる」と感心した。こういう人は彼だけではない。

この友人の他にも、法律分野で活躍するアメリカ人の私の親友も、私の考えに賛同してくれた。彼がいうには、「アメリカ人のほとんどは経済の悪化という現状が自分たちの危機であるという認識ができていない。」という。

次期政権の経済政策がこうした客観的な視点から修正されることを切に望む。さもなくば、期待だけ持たせて、結果が伴わないことへの日本と同様の政治不信現象が起こり、さらなる混乱を招くだろう。

ただ、アメリカの民主主義の危うさも感じる。以下の記事の通り、オバマ次期政権への支持率が8割を超えているという。単純に見れば、アメリカのリーダーは国民に支持されているなという論調になるかもしれない。しかし、私はこれにアメリカ国民の未成熟さがあるとみている。というのは、オバマ政権は何1つまだ実行していない。にもかかわらず、期待だけで、支持率がここまで高まっているのである。

つまり、神頼みと変わらないくらいの、根拠のない支持率であって、それが高いということは、①それほどアメリカが病んでいるということ、②仮に私の指摘するように次期政権の経済計画が失敗すれば、アメリカでの政治不信が進み不安定な状況がさらに続くということが考えられると思う。

いずれにしても、こういう記事は、アメリカの病んだ現状を知る上でも、注意して読む必要がある。

82%がオバマ氏支持=過去30年の移行期で最高-米調査
12月25日15時7分配信 時事通信

 【ワシントン25日時事】米CNNテレビが24日公表した世論調査によると、オバマ次期米大統領の政権移行期における対応を支持する人は全米で82%に上り、過去30年間に大統領選で初当選した人物の中で最高の支持率を記録した。
 調査によると、過去2回の政権移行期の支持率は2000年のブッシュ氏(現大統領)が65%、1992年のクリントン氏(前大統領)が67%だった。
 CNNの世論調査部長は「オバマ氏は過去30年間の大統領当選者の誰よりも米国民と良好な蜜月関係を築いている」と指摘した。
 オバマ氏は経済政策で、1993年1月時点のクリントン氏の2倍近くの支持率を誇っているという。また、回答者の3分の1は大統領選後に、オバマ氏の印象が良くなったと答えた。
 調査は、19-21日に全米の成人1013人を対象に行われた。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081225-00000080-jij-int

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12/27/2008

内部統制の欠如―マクドナルドの例から

連日報道されているこのニュース。前記事に引き続き。

自社のブランドに泥を塗る行為だと思う。一度生じた企業への不信はそう簡単には回復できない。

株価が下がる自体にも至っており、取締役の善管注意義務としての監視義務違反を問う株主でてきても不思議ではない。経営判断としてもマズイ行為だったのではないだろうか。

代表取締役が原田泳幸氏になってから、サラダの賞味期限の改ざんや、名ばかり管理職など不祥事が連続している。「知らなかった」という言い訳は、会社法上は通じない。監視義務があるため、適切な内部統制制度の構築がなければならないが、今回のサクラ報道からしても、そうした適切な制度自体がないのではないだろうか。コンプライアンスという基本的意識を欠いているのであれば、経営者としての能力を疑ってしまう。

関係者は下手な言い訳をせずに辞任した方が株主の利益、ひいては社会全体の利益になるだろう。創業者の藤田田氏も泣いている気がする。

マクドナルドの新商品発売、「サクラ」動員は東京でも
12月27日12時58分配信 読売新聞

 日本マクドナルド(本社・東京都新宿区)が大阪市内の店舗で新商品を売り出した際、アルバイト1000人を動員し、「行き過ぎた演出」などと批判が出ていた問題で、東京都内での発売日にも、イベント会社が手配した「サクラ」に行列を作らせていたことが分かった。

 日本マクドナルドのコミュニケーション部によると、渋谷区で11月1日、新商品「クォーターパウンダー」を販売する臨時店舗を開設した際、「盛り上がりを演出するため」、イベント会社が手配したスタッフを開店前に並ばせ、商品を購入させるなどしたという。動員人数は公表できないとしている。

 客寄せのためのサクラとの批判について同部は「サクラの定義がないので何とも言えないが、消費者に誤解を与える手法は見直したい」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000030-yom-soci

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企業のコンプライアンス意識欠如の一例

一時期、会社法が改正されたあたりに、コンプライアンスや内部統制という話が話題になったのを覚えているだろうか。これは、今でも重要な企業にとっての要素であり、特に経営者にこの意識の欠如があると、社会的にも問題が大きくなる。

そして、コンプライアンスというのは、法令遵守であることはもちろんのこと、社会的な責任に対する遵守意識というのも求められる。

会社法上、取締役には、善良な管理者たる地位からの注意義務が要求される。つまり、取締役は法令違反がないことだけでなく、企業の運営における適正な監視義務をも負っている。

食品偽装問題で、サラダの日付けの改ざんを行っていたという報道がされてから、まだそれほど久しくはないが、やはりマクドナルドの場合は企業体質にそういったコンプライアンス意識に欠ける土壌が未だあるのかもしれない。

同じCEOの下で、このような不祥事が2回もあることはその責任は重たいのではないだろうか。監督義務を尽くしていないと株主に言われても仕方ない気がする。

                2008122500000619sansociview000

この写真をみると、マクドナルドの経営者は消費者、ひいては株主をナメているのではないかと思ってしまう。

マクドナルドがサクラで行列演出? 新商品先行販売で
12月25日22時56分配信 産経新聞

 日本マクドナルドの新作ハンバーガーの近畿先行販売が御堂筋周防町店(大阪市中央区)で始まった23日、同社側が雇ったアルバイトが行列に加わり、商品を購入していたことが25日、分かった。客の長蛇の列が話題になり、同社はこの日の同店の売上高が1店舗としては過去最高を記録したと発表していた。同社は「意図的に行列をつくるつもりはなかった」と説明しているが、消費者らからは作為的な話題作りとの声もあがっている。

 先行販売されたのは、ハンバーガーのビーフパティ(牛肉部分)が従来の2・5倍になった新商品「クォーターパウンダー・チーズ」。23日にプロゴルファーの上田桃子さんらを招き大々的にPR。店前には徹夜組も含めた長蛇の列ができ、1日で約1万5000人が来店、1店舗の店舗売り上げ高としては過去最高の1002万円を記録したと発表していた。

 同社の説明によると、アルバイトは同店のサービス内容やこの商品に対する客側の反応を調査する目的でマーケティング会社に依頼。この会社が大手派遣会社「フルキャスト」に、キャンペーンスタッフの名目でモニター募集を要請していたとしている。

 フルキャストが行ったアルバイト募集は「楽チン!新商品を並んで買って、食べるだけのお仕事!」とし、新商品発売に伴い、支給されたプリペイドカードで、飲食店で商品購入を行う内容。雇用されたアルバイトは約1000人で、このうち約300人がハンバーガーの味や接客などに関して5段階で評価するアンケートに答えていた。時給は1000円だったという。

 日本マクドナルド・コミュニケーション部は「モニタリングは“サクラ”ではなく、故意に来店者数を操作する意図はなかった。1000人分の売り上げは50万円ぐらいなので、それを差し引いたとしても、過去最高の記録は覆らない」としている。

 一方、アルバイト派遣を請け負ったフルキャストは「あくまで新商品を購入してアンケートに答えるモニタリング調査だった」としている。

 25日に同店に客として訪れていた大阪府東大阪市の男性会社員(22)は「話題作りをしようとしたのだろうが、バイトがいたなんて信じられない。お金を払って買ったのがばからしい」と話していた。

◆テレビプロデューサーでタレントのデーブ・スペクターさんの話 「マックは安価で量も多く不況に強いファストフードなのだから、こんなことまでして売り出す必要はなかったはず。後から『ギャグでした』と公表するつもりだったら許せるけど、子供にも人気があるんだからやっぱりうそはいけない。マックを愛する僕にとっても非常に悲しい話だけど。それでも僕は行くつもりだけどね」

◆企業会計に詳しい宮本勝浩・関西大学大学院教授(理論経済学)の話 「モニタリング調査は何十人かを事前に募集して商品を試してもらいアンケートなどに答えてもらうやり方が一般的で、今回のフルキャストの手法は正しい調査とはいえない。1000万円という売り上げを大々的に宣伝しており、かなり作為的で信用を失墜させる。マクドナルドの今後の売り上げにも影響しかねない」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081225-00000619-san-soci

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12/26/2008

本当に日常的概念なのかという疑問

ある方のブログで、公共施設の設備品使用をめぐって争いになったという話があり、そこでその時の対応が良かったかどうかというような議論がなされていた。

そこで、「公共施設の設備品は、早い者勝ちであり、利用している人に所有権がある」とか、「一時的に所有権を取得した」とかいう法律上明らかな誤りがある主張がなされていて、ふと、民事訴訟にある権利自白の話を思い出した。

民事訴訟では、事実と証拠の収集・提出は当事者の責任と権能とする建前(弁論主義)が採用されている。

そこで、①裁判所は、当事者間に争いのない事実については、そのまま認定しなければならない。また、②当事者が自白(相手方が主張する自己に不利益な事実を認めて争わない旨の陳述)した事実については、証明することを要しない(民訴法179条)

さらに、自白が成立すると、上記2つの効果が生じるため、相手方当事者は、一旦自白が成立すると、それを信用して、その自白を前提に、訴訟追行するため、③禁反言・信義則から、自白を撤回することが原則できなくなるという効果が生じる

そして、弁論主義は、「訴訟の結果に直接関係のある権利の発生・変更・消滅という要件事実である主要事実」に限って適用されるため、自白の①③の効果は、主要事実に限って認められる。

権利自白というのは、事実の自白ではなく、権利・法律関係に対する自白である。たとえば、「家を買った」という事実を主張するのではなく、「家の所有権がある」というのが権利自白である。

この権利自白について、上記の自白の①③の効力を認めるべきかという論点について、判例は、権利自白は法律関係についての自白であって、事実の自白ではなく、法的評価は裁判所の専権なので、原則として認めないとしつつも、日常的な法律概念についての自白であれば、その法律概念の内容を当事者が熟知しているので、具体的な事実の陳述として、自白を成立させるという立場をとる。

つまり、所有権が相手にあるという自白をすると、所有権を取得した具体的事実(例えば、売買契約による所有権の移転など)に、自白があるということになる。

ここで、やっと本題。

この記事の一番最初にある所有権の議論。これは、とんでもない勘違いなのである。公共施設での備品が早い者勝ちというのは、正しいが、利用者はあくまでその占有権を取得するにすぎず、所有権は取得しない。

何を言いたいかというと、所有権が日常的な概念で、当事者はその意味内容を理解しているというが、本人訴訟など一般人が訴訟参加する場合には、所有権の意味すら本当に理解できているか怪しい場合があるということである。

今まで、訴訟は法律の専門家たる法曹主体の運営がなされていた。そういう中では、所有権が何を意味するかは当然の前提で、「日常的概念だから」というのは、その通りだったのかもしれない。

しかし、一般人が、こういう法的概念を理解している場合は非常に稀なのが現実ではないだろうか。

そう考えると、裁判員制度がスタートする中、一般国民の訴訟参加が増えることが予想される。

そうなると、もう少し丁寧な訴訟運営が裁判所には要求されるだろうし、国民も法律の最低限の理解が必要になってくるのかもしれない。

法律の議論をわかりやすくしようとしたが、かなり迂回な記事になってしまった。いつも思うことだが、なかなかわかりやすく説明することは難しい。

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12/25/2008

ブッシュ政権の8年間を振り返って(4)― ブッシュからオバマへ

さて、最終回は、ブッシュ政権から移行するオバマ政権にスポットを当てて、検証したい。

「ブッシュ政権の8年間を振り返って(2)」の中で、ブッシュ政権内での、穏健派と強硬派の対立を紹介した。

オバマ新政権でも、この対立は逆の形で起こりそうだ。というのは、ブッシュ政権内では、保守の穏健VS強硬という対立だったが、オバマ政権は、リベラルの穏健VS強硬という形になる。

オバマ次期政権、米通商代表部代表にカーク元ダラス市長起用へ 
12月19日9時32分配信 産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】オバマ次期大統領は、次期米通商代表部(USTR)代表に元ダラス市長のロン・カーク氏(54)を次期労働長官には、民主党のヒルダ・ソリス下院議員(51)をそれぞれ指名する方針を固めた。米主要メディアが報じた。19日の記者会見で発表される見通し。

 カーク氏は1995年から2002年まで黒人初のダラス市長を務めた。北米自由貿易協定(NAFTA)を支持し、地域貿易の拡大を推進した。オバマ氏は貿易問題でNAFTA見直しを掲げてきた。多国間、2国間の通商交渉を担当するUSTA代表へのカーク氏の起用で、次期政権が自由貿易路線を進むという見方が上っている。

 一方、ソリス氏はカリフォルニア州選出のヒスパニック系女性。下院ではエネルギー商業委員会に所属し、NAFTAには強く反対してきた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000522-san-int

現在、アメリカはかつてない経済危機にある。これは9・11テロ事件のときと同じくらいの衝撃なのだが、アメリカ国民の多くはそれを未だに実感していない。問題は、こういう未曽有の事態であるにもかかわらず、挙国一致政権にはなることは非常に困難だということである。

この人事からも明らかのように、経済政策においても、リベラル派で、カーク氏のような自由主義的政策を是とする人々がおり、これに対しては、共和党の保守系議員から支持を得られるだろう。

他方、ソリス氏のような保護主義を主張するリベラル強硬派も、労働問題を扱う部署の長になっており、これに対しては、民主党のペロシ下院院内総務などリベラル強硬派の支持は得られるにしても、経済政策をめぐって対立を深めることが予想される。

オバマ氏は1つのアメリカを主張したが、人事の起用を見ていると、予備選からオバマ氏を支持した人への論功褒賞的な面が強く出ている。これに対しては、ヒラリー氏を登用したという反論もあるだろう。

しかし、外交面の問題と内政面の問題は別である。そもそもアメリカの外交は、大統領選などで争点になっても、政策で大きな違いはでてこない。選挙戦で争点になるのは、大統領候補に外交能力があるかどうかということであって、実際に政権がスタートすると、大きなシフトは急激にはできない。

オバマ氏も予備選から本選挙、当選後と、テロとの戦いについてのニュアンスは変わってきているし、イラク撤退をしても、アフガンへの駐留は継続すると言っているので、アメリカ国民が望んだようなChageは起こり得ないだろう。

そして、それを裏打ちするように、外交面での重要ポストは、共和党のゲーツ国防長官も再任が決まっているし、クリントン氏も上院時代をみると、外交面は保守的になっている。

つまり、外交面での政権内の対立は、オバマ氏が『余計なこと』をしない限り、それほど表立つことはないだろう。

したがって、問題は内政面での政策、とりわけ、経済閣僚の経済政策の考えなどがアメリカの今後を占ううえで重要である。政権内での経済政策への対立が深まれば、それは、上院への議決に影響が出る。

日本と違い、アメリカのの上院議員は、党議拘束にほとんど拘束されない。選挙後、民主党が7,8議席リードしているものの、うち2名は無所属で民主党と統一会派を組むだけであり、5人の造反者がでれば、法案は通らない。

オバマ政権が経済政策で、過度にリベラル強硬派の政策に耳を傾け過ぎると、上院の保守系民主党議員が反発して、法案はつぶされる可能性がある。特に肥大した政府を嫌う傾向は民主・共和を問わず、上院議員には見られる。

以上のような状況からすると、メディアでは、オバマ次期大統領への期待は過度になっているが、私は、ふたを開ければ、「それほど変わらない」と実感するか、「大きな失政をする」かのどちらかだと分析している。

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12/24/2008

冷静な判断が必要 ― 雇用能力開発機構の統合について

この雇用能力開発機構については、以前から解体すべきか、それとも、統合をすべきかでもめていた。麻生批判で時の人となっている渡辺喜美氏なんかも、解体すべきといっていた。

官僚の天下り先なら、解体が良いと思うかもしれない。今回のニュースに関する記事も「一部業務を残していて、組織温存だ」「改革後退だ」という価値先行的な報道になっている。しかし、このニュースだけに限らないが、果たして、本当にこの報道の通りなのかということを客観的かつ冷静に考える必要があると思う。

この問題について、「さおだけやはなぜ潰れないか」という本でベストセラーを出した公認会計士の山田真哉氏は、「雇用・能力開発機構のあり方検討会」の委員の立場から、自身のブログで「なんでも解体というのは、コスト感覚が乏しい」と述べており、解体より統合がコストパフォーマンスの見地から妥当だとしている。

http://plaza.rakuten.co.jp/kaikeishi/diary/200812110000/

http://plaza.rakuten.co.jp/kaikeishi/diary/200809160000/

この見解を聞くまでは、あまり意識していなかったが、同機構については、失業者対策・雇用対策を国と地方のどちらが責任を持ってやるかという話に直結する問題だろう。そういう本質的な議論はなかなか報道されず、「無駄だから解体すべき」「官僚の天下り先だ」というような表面的な主張ばかりが目立つ気がする。

マスコミは、よく国民不在と政権を批判する。しかし、マスコミこそ国民不在の視点で、自分たちの一方的な価値判断を押し付けているのではないだろうか。その意味でも、山田真哉先生のコスト感覚からの主張は、なるほどと感じる。

もちろん、天下り先をなくしたり、無駄な行政のスリム化はすべきだし、してほしい。でも、私は政治家のパフォーマンスで、必要な施設がなくなり、不要な施設は裏で存続しているというような行政改革は百害あって一利ないと思う。

マスコミも、表面的に物事を見て、象徴的に叩くのではなく、本質的なもののとらえ方をすべきだろう。そういう意味で、マスコミの報道が正しいのかを検証できるメディアリタラシーも国民は身につける必要がありそうだ。

雇能開発機構廃止を閣議決定
12月24日10時29分配信 産経新聞

 政府は24日午前の閣議で、独立行政法人(独法)改革の焦点だった厚生労働省所管の「雇用・能力開発機構」の廃止を決定した。開発機構の職業訓練事業は同省所管の別の独法「高齢・障害者雇用支援機構」と統合し、毎年十数億円の赤字を出してきた職業体験施設「私のしごと館」は平成22年8月までに廃止する。開発機構廃止のための法案は22年度末までに国会に提出する。

 職業訓練事業は、運営の中期目標を経済産業省と協議するよう定めることで、事実上、厚労省と経産省の共管とした。中小企業や労働者が事業に参画できるための運営委員会や、コスト削減のため外部専門家による第三者委員会をそれぞれ設けることにした。

 開発機構については、福田内閣が解体の方針を打ち出していた経緯もあり、職業訓練業務が残されたことに対して、自民党内からは「組織の温存で、看板の掛け替えにすらならない」(渡辺喜美元行政改革担当相)との批判や、改革後退への懸念も出ている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081224-00000516-san-pol

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全国放送で見たい番組

関西のNHKでは、『ビジネス新伝説 ルソンの壺』という番組があるらしい。

http://www.nhk.or.jp/luzon/index.html

この番組は、関西の経営者をスタジオに招いて、公認会計士・作家の山田真哉先生や精神科医の名越康文先生をコメンテーターに経営術などを披露するらしい。

消費者にとってもこういう番組は重要だと思う。企業の社会的責任が叫ばれる中、消費者も不景気だからと単に安いものばかりを買っていては、中国餃子や中国産のウナギ等に代表される毒物事件、ミートホープの食品偽装事件を助長しかねない。

値段だけでなく、食の安全を考える賢い消費者になるためにも、企業の経営者がどういう考えで、どういう精神で経営しているのかを知る上でも、このような番組は貴重な気がする。

また、これから起業を考えている人、現在苦境にある経営者にとっても、こうした番組から得られる知恵を生かすことができるかもしれない。

暗いニュースや下らないお笑い番組ばかりを垂れ流すのではなく、NHKをはじめ、放送局は、こういう番組をぜひ全国放送で流してほしいものである。

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功労者へのリーダーの責任

日本でも世界でも評判の悪いブッシュ政権。それでもブッシュ大統領は、リーダーとして、功労者への敬意を払うという務めはきちんと果たしているようだ。当然のことなのかもしれないが、こうした行動は国の最高責任者として重要だと感じる。

アメリカ人は愛国心が強い。日本でよく愛国心教育という言葉がでるが、私はこうした強制染みた発想が嫌いである。愛国心というのはいわゆる郷土愛と同じである。自分の国を誇れるというのは教育により植えつけられるべきものではない。自然に生じてしかるべきものだろう。

イラク戦争という選択をしても、当時のアメリカ国民はブッシュ政権を支持した。また、未だにブッシュ大統領を支持する人もかなりいる。よく日本ではそういう支持者は何もわかっていない田舎者が多いと評して、ブッシュ政権はダメ政権という価値先行の報道がなされる。

しかし、その短絡的な結論の方が私にとっては田舎者の評価だと思う。

どんなに政策的な評価が悪いリーダーでも、ブッシュ大統領のように、国の最高責任者として、国の犠牲になった国民への敬意の払い方については、学ぶべき点があると思う。こうしたリーダーの姿勢が愛国心を生むのではないだろうか。

日本を見た時に、いつも、戦没者の慰霊の問題となると、靖国参拝と中国の反応ばかりが報道されるし、マスコミも政治家もそれを利用する。

私は、靖国参拝以外でも戦没者への敬意の表し方はたくさんあると思う。また、戦争世代に対する敬意もどの程度払われているのだろうか。

私の祖父は二人とも海軍に従事して生き延びた。祖父の艦隊が3度も沈められながら、3度も海に飛び込んで生き延びたという話を聞いたことがある。

その祖父に支払われた軍事恩給は3か月で、10万円前後である。もう一人の祖父には、表彰状が贈られただけで、軍事恩給は支払われていない。国のために命をかけて戦い、その後は国の高度経済成長を支えた老人に対する敬意として本当にこれで十分なのだろうか。もちろん、祖父は2人とも文句1つ言ったことはない。むしろ、ありがたいとすら言っていた。

祖母は、民間人だったが、輸送系の会社に勤めていたため、会社に向かわなければならず、その通勤途中、グラマンという戦闘機に狙われた。祖母がいうには、機銃掃射で狙うアメリカ兵が見えたという。祖母は一生懸命走り、転んだ。その瞬間、道端から飛び出した犬が祖母の横を走り抜けた。そして、その犬が祖母の代わりに打たれたという話を聞いた。その後、祖母はすぐに防空壕に逃げ、生き延びた。

もちろん、民間人なので、軍事恩給はない。表彰もされていない。幸い、戦後も民間企業で働き続け、厚生年金を得ているので、金銭的にはなんとかなっている。

そんな祖父がなくなって、1年半が過ぎた。祖母も現在は痴ほう症で昔のことはほとんど覚えていない。もっと、元気なうちに、戦争の時の話を聞きたかったとつくづく思う。

靖国参拝がどうのこうのとかいうより、もう少し国に尽くしてきた老人世代(80歳近くの人たち)へ、国は敬意を示した政策を示すべきだろう。

最近は経済問題ばかり話題になるが、一方で老人の介護、医療制度問題の改善も忘れてはいけないと改めて思う。

とくに、定額給付金では、高齢者に8000円を支給することを内容としている。定額給付金の目的が何かにもよる話だが、これで、高齢者への施策として十分と考えているなら、日本のリーダーは国の功労者である老齢者に対して、あまりにも冷たいのではないだろうか。

また、どうも最近はこの定額給付金騒動ばかり政治的に利用され、民主党も参議院の最大政党として十分な働きをしているのか疑問に感じることもある。

解散解散と叫んだり、審議拒否するのではなく、雇用対策法案で示したように、老齢者への医療制度の問題に対する法案もぜひ独自に出して、その能力を見せてほしいものだ。

ブッシュ大統領、戦死した米兵遺族を7年間極秘慰問
12月23日23時1分配信 読売新聞

 23日付の米ワシントン・タイムズ紙は、ブッシュ米大統領とチェイニー副大統領が、イラクやアフガニスタンで戦死した米兵の遺族を慰めたり、戦地で負傷した将兵を勇気づけたりするため、過去7年間にわたり極秘裏に慰問活動を続けていたと報じた。

 同紙によると大統領は、計4000人以上にのぼるイラクとアフガンでの戦死者の遺族全員に対し、弔意を表す自筆の私信を送っていたほか、遺族約500組と負傷した帰還兵約950人に直接面会。副大統領もホワイトハウスをひそかに抜け出し、ワシントン郊外の病院に入院中の帰還兵をしばしば見舞ったほか、何度も公邸に招待したという。

 大統領は同紙に対し、「遺族を癒やすはずが、彼らの強さや家族愛を前に逆に癒やされたこともある」と述べ、自らの決断で多くの将兵を死地に赴かせたことへの複雑な心の内をのぞかせた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081223-00000041-yom-int

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12/23/2008

就職留年の問題 ― 新卒採用が日本の人材力を失わせる

以前にもブログで内定取消の話について触れたが、本末転倒という事態が起きている。

内定取消留年をする、いや、むしろ内定留年をしなきゃいけない状況に学生が追い込まれて、大学側が対策に出たという記事である。

大学の対応はしかたないにしても、このような就職留年について、私は疑問に感じる。

日本は新卒採用がメインで、新卒でなければ、そもそもの応募条件を満たせないことが多い。なので、新卒というポジションを保持するために、希望する職種や就職が決まらない学生は、あえて単位を落とし、留年するというものである。それによって、次の年には希望する職種に行ける学生もいる。

馬鹿馬鹿しいと思わないだろうか。そこまでして、なぜ企業は新卒の肩書きにこだわるのだろうか。卒業してから、就職活動をしてもいいのではないか。むしろ、海外はでそれが常識なのであって、この採用対象を新卒者に限るのは日本の悪しき伝統として残っている。

私の友人で、フェミニスト思考のある人が、「それは、処女を好む男のように、自分色に染めたいという日本企業の男性社会の現れ」と称していることがあり、最初は、「出た。フェミニスト思考」と思ったが、後で考えてみると、説得的に感じた。あながち、間違いではないと思う。

つまり、企業側は終身雇用制度を前提に、新卒採用に力をいれようとする。そして、そういう中で、いろいろ経験してきた人物よりも、初々しい学生に自らの企業文化しみこませ、その会社の人間を育てたいという願望があるのではないだろうか。

もっとも、この前提自体が崩れているのだが、未だに多くの日本企業はこうした制度は採用制度は改めない。他方で、人事部も何か改革をしないといけないと考えて、形だけの成果主義(本当の成果主義ではない)を導入し、失敗する。

本当の人材改革をするのであれば、やはり、新卒採用制度を改めて、既卒者に対しても、幅広く採用の道を開けるべきだと思う。そうしなければ、眠れる有能な人材がどんどん海外に流出するだろう。

そのフェミニスト思考があるといった私の友人も、大学時代は就職活動があまり上手くいかなかったものの、有能な人物で、今では世界中を飛び回りながら、世界規模の外資系会社で働いている。海外流失の一例だろう。

ある中小企業の方が、「不景気だからこそ、良い人材確保のチャンスがある」と言っていた。学生も大企業ばかり目を向けなくなるので、良い人材確保のチャンスが自分たちにもあるということだそうだ。こうした中小企業の経営者の姿勢を大企業の人事部も真摯に学ぶべきだと感じた。

<青山学院大>内定取り消し者の留年容認…授業料半額以下に
12月22日23時36分配信 毎日新聞

 青山学院大は、就職の内定を取り消された来春卒業予定の学生について、希望すれば単位をすべて取り終えていても特例として留年を認めることを決めた。卒業した場合、来春以降の就職活動で新卒扱いされず、不利になる恐れがあるため。

 青学大によると、内定を取り消された来春の卒業予定者は22日現在8人。7人が内定先企業の経営破綻(はたん)で、1人が業績悪化が理由だった。授業料については、単位不足による留年の場合で半額程度のため、半額以下にすることを検討している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081222-00000140-mai-soci

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12/22/2008

ブッシュ政権の8年間を振り返って(3)

第3回は、2004年から2008年のブッシュ政権を既存のマスメディアの価値先行的な報道とは一線を画した見地から検証する。

第2期ブッシュ政権は、国内世論が二分されている中、より保守色の強い政権運営をスタートさせる。

まず、パウエル国務長官が辞任し、より保守的でタカ派のライス氏がその職についた。もっとも、ライス氏は民主党支持者だった過去もあり、ラムズフェルド国防長官などのネオコンのようなタカ派ではない。

また、ライス長官はの専門はロシアなどであり、北朝鮮問題の解決には、それほど積極的な姿勢を示さなかった。

他方で、イラク戦争などの外交面で思うような成果が出ず、それにより共和党の支持者が減少することにつながり、ブッシュ政権は外交面で焦りを見せ始める。

中間選挙が2006年に行われるが、下院・上院で民主党が過半数を取ることとなる。これにより、政権の中枢にいたラムズフェルド国防長官が辞任。この辞任は、イラク情勢での米兵死亡者数が増加したことに起因した中間選挙敗退を理由とする事実上の更迭だった。

また、2006年頃を機に、ブッシュ政権は、多くの閣僚やホワイトハウススタッフを入れ替えるなどするものの、支持率の回復は図れず、求心力は低下する。また、辞めた閣僚やスタッフから、本当はイラク戦争を支持していなかったなどの責任回避の発言や暴露本が飛び出したことも、求心力低下につながった。

2007年の後半から2008年にかけては、全米のメディアが次期大統領選に注目し、ブッシュ政権は、外交政策でも従来のような強硬な姿勢が取れないというジレンマに陥った。つまり、ブッシュ政権は2006年の中間選挙敗退を機に、死に体政権の運命を歩むこととなってしまう。

もっとも、第2期ブッシュ政権にとって朗報だったのは、大陸ヨーロッパの親米化である。

冷え込んだドイツ・フランスとの関係が、シラク大統領の退任と親米派のサルコジフランス大統領の就任、シュレイダー首相の退任とメルケル首相の就任により、大陸ヨーロッパとの関係修復が進んだ。

このヨーロッパにおける親米化は、①いわゆるド・ゴール主義が機能せず、長期の支持は得られなかったこと、②内政の不満を外交政策での反米姿勢で紛らわそうとした前政権の戦略が失敗したことにあると考える。

つまり、ドイツもフランスも国内景気が悪く、当時のシュレイダー政権やシラク政権は、失業率の問題など内政の難題を解決できないという批判を、反米の外交政策で誤魔化そうとしたが、結局国内問題を十分に解決できないことから、支持を失ったとのである。

このように、欧州と米国の関係改善は、NATOでの連携強化につながった反面、ロシアとの対立を招く。ライス氏の専門分野でもあることから、積極的な外交をブッシュ政権は行おうとするが、やはり、イラク情勢が足かせとなってしまう。

以上のような分析をすると、私は、近年、アメリカ国内とヨーロッパ国内の世論には、ある種のタイムラグがある気がする。

ヨーロッパで、シュレイダーやシラクというリベラルまたは穏健保守政権下での失業率が問題となっている時期に、アメリカは保守政権であるブッシュ大統領の下、9・11テロを経験しつつも、金融バブルを起こし、好景気を維持する。その後、ヨーロッパで保守政権が誕生すると、アメリカはオバマ氏率いるリベラル政権を望む。

こうした世論のズレが、どのような影響を及ぼしているのか不明であり、今後も考えて行く必要があると思うが、直感的にいうと、このズレが国際社会での不安定さを出している気もする。つまり、欧米が一致した行動をとらないことにより、冷戦後のアメリカを基軸とした世界秩序が乱れているのではないだろうか。

このズレは、今後も続きそうだ。イギリスでは、保守党の方が支持率があるし、メンケル首相やサルコジ大統領も順調な政権運営をしている。他方、アメリカでは、チェンジと訴えたオバマ氏が大統領に就任する。

混迷を深める世界経済を目の当たりにし、欧米が世論のズレを克服し、協調して有効な国内経済刺激策をとることができるかが問われるのかもしれない。

次回(最終回)は、ブッシュ政権からオバマ政権への移行というテーマ。

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12/21/2008

急激な・・・

昨夜から急に、アクセス数が増えた。Σ( ゜Д゜)ハッ!

どうしたのかと思ったら、Yahooニュースで、定額給付金の記事とともに、ブログが紹介されたらしい。おかしな発言があったのかと少し焦ってしまった。(;´▽`A``

折角なので、外国人に対する給付関係の説明を補足として、載せようと思う。

まず、よく外国人に対する給付ということで、問題になる分野が、社会保障関係の給付である。生活保護支給や母子家庭への給付、障害者年金などがあるわけだが、憲法判例として最高裁まで争われた事案もある。

その代表例が、塩見訴訟である。在日朝鮮人の原告が障害年金の給付を請求したのであるが、国が国民年金法の国籍条項を理由に給付請求の却下処分とし、原告が、国籍条項の憲法違反などを理由にして、その処分取り消しを求めて提訴した。

判例は、特別永住者である原告については、他の外国人と特別扱いしないことを前提に、①憲法25条の社会権は抽象的権利であって、立法による政策的判断があって初めて実現する請求権であること、②障害者年金が全額国庫負担による無拠出の年金であり、財源に限界があること、③外国人の社会保障については、政策的判断が必要で立法裁量が広いことなどを理由に、国籍条項を設けて、国民と外国人を区別することには合理性があるとして、憲法14条違反の主張を退けている。

この判例の考え方から、今回の定額給付金の外国人への支給問題を考えると、まず、定額給付金がどういう目的で支給するのかが重要である。

仮に、目的が、生活困窮者への社会保障にあるなら、支給するかどうかは、専ら政治的・政策的判断であって、外国人には憲法上請求権は存在しないことになる。

また、目的が、景気刺激という社会保障とは別の目的(例えば、税の還付など)であった場合であっても、財源に限界があることは変わらないし、経済政策というのは政策的判断が必要であるから、立法裁量が広く、やはり、外国人の憲法上の請求権は否定されることになるだろう。

つまり、国があえて支給するというなら、構わないが、憲法上支給する必要はないことになる。

もっとも、私は、国の財政に余裕がないのだから、憲法上支給する必要がないところにまで、支給する必要性はないのではないかと思う。世論はどうなるのだろうか。また、それに政治家は応えるのだろうか。はたまた、期待するだけ無駄なのか・・・。

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外国人にも給付?

定額給付金が外国人にも支払われるらしい。

社会保障費の関係で、外国人の生存権や平等権を根拠とした給付請求権が問題となることがあり、財源の限界などを理由として、否定されることが多い。

積極的に国が認めるというのは、異例な気がする。国が積極的に認める以上、請求権を有することとなるわけだが、財源の問題が指摘される中、大丈夫なのであろうか。

個人的には、この措置には疑問に感じる。支給の所得制限もせず、国籍制限もしない。そんなに日本の国にはお金があるということなのだろう。無責任極まりないとも思うが・・・

定額給付金、全外国人も原則対象 「2万円」の基準日は2月1日
12月20日16時56分配信 産経新聞

 総務省は20日、平成21年度第2次補正予算案の閣議決定に伴い、同案に盛り込まれた1人当たり原則1万2000円を支給する定額給付金事業の実施概要を明らかにした。給付金総額は1兆9670億円で、このほか国が負担する市区町村の事務経費を825億円と想定して計上した。

 また、11月末の「たたき台」で確定していなかった外国人の扱いについては、外国人登録者のうち、永住者や日本人の配偶者らのほか、在留資格を持つ就労者や留学生らも含めた。この結果、約215万人(平成19年)の登録者のほとんどが対象となる見通し。

 給付金は65歳以上と18歳以下の人には8000円加算し、計2万円が支給されるが、年齢の基準日は来年2月1日に決めた。具体的には、(1)昭和19年2月2日以前(2)平成2年2月2日~21年2月1日-に出生した人が加算支給の対象となる。基準日以降に他の自治体へ転居した場合の手続きなどは今後検討を進める。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081220-00000546-san-bus_all

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12/20/2008

不景気と感じる瞬間

コネタマ参加中: 不景気だなぁと感じるのは、どんな時?

家の周りのクリスマスイルミネーションが今年は格段に減りました。

また、イルミネーションの飾り付けをしていても、8時くらいには電気が消える家が多くなりました。

他人のことなのですが、なんか残念な気がします。。。

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ブッシュ政権の8年間を振り返って(2)

ブッシュ大統領を襲撃した靴を買いたいという声があるらしい。9億円もの価値があるのだろうか。金持ちの考えることはわからない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081218-00000096-jij-int

さて、第2回の今日は、2004年の大統領選挙を勝利した理由を、2000年から2004年までの4年間のブッシュ政権の政権運営を振り返りながら検討したい。

まず、何といっても2001年9月11日の起った全米同時多発テロがこの第1期ブッシュ政権を語る上で重要である。多くの人にとっては、すでに見慣れてしまい、過去の映像となってしまったかもしれないが、ワールド・トレードセンタービル(WTC)のツインタワーに飛行機が突っ込んだ映像は非常にショッキングなものであった。

私は、当時アメリカにいたが、まさに混乱状態だった。CNNをつけた途端、WTCから黙々と煙が上がっている。そして、数分後、LIVE映像で、もう1機がWTCに突っ込む姿を多くの視聴者が目の当たりにした。このようなテロは今までに見たことがなく、第2次世界大戦後、初めてアメリカ本土が戦争状態に入ったと思わされた瞬間であった。

そして、報道や情報が錯綜。連絡の取れない飛行機が10機近くあり、上空から狙っていると多くの人々が狼狽していた。 そして、防衛の拠点であるペンタゴン(国防総省)が攻撃を受ける。とにかく、この日以前の平和な日々が一瞬にして崩壊し、実態が分からない恐怖に直面したわけである。

この危機に、真っ先に対応したのが、ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏(共和党)であった。彼のリーダーシップは当時の国民には賞賛された。そして、ブッシュ政権も当時の国民の目線からは、迅速に対応したと見えていた。

ブッシュ政権は、直後に、このテロがアルカイダによるものだったことを発表。テロへの警戒はクリントン政権のときから明らかだったことが判明。国民の声は、テロ防止できなかったことによるクリントン政権やブッシュ政権批判というよりは、テロを起こした組織を壊滅すべきだというものが強くなっていった。

この原因は、米国の国民感情として、自国が直接大規模な攻撃を受けたことがないというショックと二度と起こすべきではないという考えによるものである。

この当時、アメリカ国内は様々な異論反論のある社会問題を抱えていたが、報復の反撃が必要だという声で、初めてアメリカ国内が一致したといえる。

この声に後押しされるように、ブッシュ政権は、アフガンへの報復攻撃を進める。さらには、この機をアメリカの安全保障を絶対的なものにする上では、絶好の機会と捉えたネオ・コンサバティブという人たちが、先制攻撃の必要性を提唱。アメリカは、テロとの戦いの名の下、国民が一致してブッシュ政権を支持することになる。

ここで重要なのは、テロ直後、リベラルも保守も幅広く、ブッシュ政権を一致して支持していたという点にある。それほど衝撃的な事件が9・11テロだったわけである。

では、なぜアメリカ国民はこの戦争への道を支持したのか。

理由の1つは、中東問題に対するアメリカの認識がある。アメリカ国内には多くのユダヤ系住民が多く、彼らは民主党の支持基盤でもある。彼らは当然親イスラエル的スタンスであり、今回のテロにより、イスラエルと同じように自分たちがアメリカにいても攻撃されうるという危機感を抱いたのである。

次に、アメリカを1つにまとめる価値は、自由主義と民主主義である。この2つの価値が、イスラム世界では共有されておらず、この価値を持たない野蛮な世界によって、アメリカの価値が揺らいでいるというアメリカ国民の共通認識が当時はあった。

さらに、アメリカに在住するイスラム系住民にとっても、その多くは帰化し、アメリカ社会に溶け込もうとしているさなかの同胞の攻撃であり、自分たちとテロリストを関連付けさせないためにも、反対の声は挙げられず、むしろ、積極的にイラク攻撃を支持したという背景があるだろう。また、アメリカのイスラム系国民は、当然、自由主義と民主主義の価値を共有しているので、フセインによる独裁に対しても批判的であった。

したがって、このテロにより、アメリカの自由主義、民主主義に対する敵が登場し、その敵を打破するために、ブッシュ大統領は戦時大統領として、その信頼を集めたわけである。

ただし、この時点で、リベラル勢力がブッシュ政権を完全に受け入れたわけではない点についても言及しておきたい。リベラル勢力は以前、ブッシュ政権の強硬派であるラムズフェルド国防長官やチェイニー副大統領に対し、不信感はあった。しかしながら、これらの不信を払しょくする存在が、穏健派だったコリン・パウエル国務長官だったわけである。パウエル長官が支持するイラク戦争は必要的なものだという考えがリベラル勢力にはあったと考えられる。

つまり、この2004年までの政権では、穏健派対強硬派という構図が出来上がるが、これは、アメリカ国内のリベラル派と保守派という対立構造を一応反映しつつ、ブッシュ政権でこれらをまとめ上げて挙国一致して、自由主義と民主主義を守るための戦争という大義のもとに、イラク戦争が支持されるわけである。

しかし、2004年には、この状況は一変する。再度、リベラル対保守という対立が生じるのである。イラク情勢が思うように進まず、さらに、政権内ではパウエル長官が孤立しはじめ、2004年11月には辞意を表明。これにより、今まではテロとの戦いを支持ないし容認していたリベラルや穏健リベラル勢力が次第に、離反していくこととなる。

そして、再度、2004年の選挙では国を二分する形で、選挙が行われた。

もっとも、この選挙でブッシュ大統領が当選するのは目に見えていた。確かに、選挙の得票的には50%対48%だった。しかし、ケリー候補に対しては、リベラル勢力が一致して推せる人物ではなかった。カリスマ性に乏しく、反戦運動の過去があり、戦時大統領としての外交能力にも疑問が呈された。

さらに、クリントン一派は、予備選で、当時、安全保障に明るい、ウェズリークラーク元陸軍大将(NATO司令官)を押したこともあり、民主党が一枚岩でなかった。

このような状況で、未だテロの恐怖から抜け出せないアメリカは、戦時大統領としての実績があるブッシュ大統領を選び、第2期ブッシュ政権がスタートするわけである。

以上のように、ポイントは、一旦一致した国内世論が、再度分裂したという点である。

この二分現象は、選挙のたびに生じるもので、現代アメリカの特徴である。この傾向は、レーガン大統領以降に特に顕著になっているといえるだろう。

2000年の選挙では、社会的保守票の掘り起こしで、リベラルと保守の対立を際立たせ、ブッシュ大統領は当選した。

その後、9・11テロを契機に、一旦国内世論を一致させたものの、政権運営が強硬派の保守よりになったことから、ブッシュ政権はアメリカ国内世論を再度分裂させてしまうも、戦時大統領の実績を強調し、2004年は再選を果たした。

この流れは、第4回で話す、「オバマ政権の誕生と今後のアメリカ」を考える上でも重要なポイントなのでぜひ覚えておいてほしい。

次回(第3回)は、2004年から2008年までのブッシュ政権の政権運営について検討する。

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12/19/2008

ダメな上司の典型(麻生首相)

タイトルの通りである。

最近、若い人とコミュニケーションを測れないダメな上司が多いという話を聞くが、この記事を読むとまさに、ダメ上司だなと感じた。

上から目線で話しかける、初対面の人に、「おまえ」などという言葉使いで、礼儀作法を知らない、実績はないけどポストにしがみつく等など挙げればきりがないので、省略するが、それにしても、ここまでダメダメなリーダーが続くとはあきれてしまう。

まともに相談に乗っているわけでもなく、雪かきの話などをして、全然親身な受け答えもせずに、よくもこのような偉そうな発言ができるものだとむしろ感心してしまう。

自分自身だって、まともに就職活動をしたことがあるのかわからないくせに、知ったかぶりをした口調には、誰もが憤りを感じるのではないだろうか。これで、支持率が上がると思って視察をしているとすれば、相当致命的だと思う。

私の持論は、ダメなリーダーが誕生する責任は、国民の民度が低いから、だが、ここまでくると、国民のせいなのだろうかと持論を曲げたくなる。

特異な人たちを取り上げて、国民的人気があるなどと煽ったマスコミのせいだと言い逃れをしたい状況だ。

麻生首相、ハローワークを視察「なんかありませんかねじゃ、仕事は見つからない」
12月19日13時25分配信 産経新聞

 麻生太郎首相は19日、ハローワーク渋谷(東京都渋谷区・渋谷公共職業安定所)を訪れ、政府の雇用対策の実施ぶりを視察。10月末に派遣切りにあい、職業や住宅探しの相談に訪れていた若者(24)に「なんかありませんかね、っていうんじゃ、なかなか仕事は見つからないよ」と叱咤激励したことを、その後現場で、記者団に対して語った。ぶら下がり取材の詳細は以下のとおり。

                    ◇

 --厳しい雇用情勢のなかハローワークの現場を視察されて。

 「求人と求職のところの現場の差がきわめてはっきりしてますね。やっぱり状況は求人の方が15%減ったという話がでてましたので、そこらのことはかたっぽは混んでる。かたっぽは混んでいない、目にはっきりわかるような感じにしたのが…。渋谷はまたほかのところと違う要素があるかもしれまけれど、少なくとも若い人が特に多い地域ではあるんですけど、いずれにしても求職というのはきわめて厳しい」

 「ここで政府としてやっているので、さっさとできることからやろうということで、もうすでに住居の話やら、4日前、4日か5日前にすでにスタートしていますし、全国でもいわゆる、なに、促進事業団のところ、1万3000戸、すでに入居がきまったのは580件(18日現在548件)? すでにもうできるところからどんどんやっていますというところもありますし、企業に対し、いろいろ要請をするのは当然ですが、その上に、なに解雇、もしくは雇い止めになったというところをきちんとして、きちんとというか、対応するのは当然のこととして、それ以降、各地方公共団体で、一時そのひとたちを、というようなところがでてきている。そういうところに対しては、大いにそれをやってください、ということで、あとその分、経費がかかりますから、その分は特別交付税などなどで対応しますということで、できるところは、もうほとんどすべて、思いつく限りのことは、今やらしていただいているところなんで」

 「今現実問題そういった話がきちんと下におりているかが問題なんだと、私はそう思っていましたんで、現実問題として、来てみると、やっぱりそこらのところは、ちゃんと、おとといからすでにかくかく来ているということは、少なくともこういうところにはすでにその指令が届いていることは、まあ、その雇用に対しての意識が、いわゆるハローワークの方もきちんと、その緊急対応ということで対応している。加えて役所が閉まったあとも、年末までやります、ということも地域においてかなりあるというのは、われわれとしてはいい方向だと思っています」

 --今、実際、端末、窓口をみられて。

 「端末の窓口は少なくとも、昔と違って、ワンタッチ出せる画面というのは、字は大きいし、わかりやすくつくってあるなあ、と思ったんで、そこそこ、高齢者やあんまりその種のことになれていない人にも、わかりやすくつくってある。それは昔にくらべたら、えらい違い。ものすごく、昔に比べたら多々でてきますから、システムとして、昔に比べたら遙かによくなっているなあ、という感じはしましたね」

 --求職されている若者に話を聞かれていたが。

 「北海道から出てきて、なんで出てきたといったら、友達っていう話をしてましたんで、友達といっしょに…といってましたんで、いままでやった仕事やらなにやら、ぜんぜん関係ない仕事、っていうんで、何を自分でしたいか決めないと、なんかありませんかね、っていうんじゃ、なかなか仕事は見つからないよ、と。きちんとオレはこれをやりたいとこういったの、という目的意識がきちんとないと、なかなか雇う方だってなかなか、その気になんないから、だから何がやりたいかということをきちんと、目的意識をはっきり出すようにしないと、就職っていうのは難しい、という話はしました」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000572-san-pol

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/aso_cabinet/?1229659392

雇用対策取り組みアピール=麻生首相がハローワーク視察
12月19日12時48分配信 時事通信

 麻生太郎首相は19日午前、東京都渋谷区のハローワークを視察した。景気後退を背景に企業の採用内定取り消しや派遣社員の解雇などが深刻化する中、雇用対策に取り組む姿勢をアピールする狙いだ。
 首相は職員から雇用を取り巻く環境や利用状況の説明を受けたあと、職を求める人たちで混雑する求人情報の検索コーナーなどを見学。非正規労働者が対象の特別相談窓口では、北海道から上京したという若い男性と意見交換し、「どうせなら六本木とかおしゃれなところで働きたい」と語る男性に、「世界中どこでもそうだが、何となく格好いい仕事は給料が安い。力仕事やしんどい仕事は実入りがでかい」と諭した。

自民党の加藤紘一議員の発言ではないが、私も小泉政権の終末とともに、自民党はその役割を終えた気がする。

記事がタブロイドっぽい内容になってしまったが、あまりにも呆れてしまったので、思うがままにタイプした。

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国民的長寿番組の危機

ココログに移転してから、硬い話題ばかり取り上げてきたので、少し今回は軽い(?)話題。

以前、ヤフーアンケートというもののトピックの中に、水戸黄門が現在視聴率一ケタ台をマークしているという話があった。

私と私の家族も昔から水戸黄門が好きで、この話を聞いて少し悲しい感じがした。といいつつ、最近は確かに水戸黄門を見ていない。

なぜ見なくなったのか考えてみたところ、およそ時代劇すべてに言えることだが、どうも画像が綺麗になりすぎたような気がする。これにより、セットの粗雑さやカツラの線などが見えてしまい、逆にチャチな印象を与えている。

また、話題性のある俳優や女優で視聴率を稼ぐ大河ドラマは別として、民放の時代劇を好む視聴者層はやはり年配の人が多い。そうすると、視聴者にとっては、若い話題性のある俳優や女優を起用するより、安定感のあるキャスティングの方が重要な気がする。例えば、水戸黄門でいうならば、助さん・格さんは体格のいい強そうな人がやるべきだし、グラビアアイドルをお供にするよりは、お決まりの由美かおるさんの入浴シーンを増やした方が視聴率は断然上がるだろう。

さらに、水戸黄門のようなシリーズものは、マンネリの中に小さなサプライズを入れることが重要な気がする。私は、水戸黄門の中でも、2代目の西村晃さんが演じた時代のものが好きである。この時代は、お決まりの助さん・格さん・八兵衛・弥七に加え、かげろうお銀や飛猿などが登場して、キャラクターが定着した。絶大な人気(?)のお銀の入浴シーンもこの時代から始まっている(お銀の入浴シーンが一番視聴率が良いらしい)。

西村晃さんが演じた黄門像は気品がありつつも、いたずら心ある黄門様というイメージだった。毎回結局は悪党が負けるのだが、その懲らしめ方が毎回違う。初代の東野英次郎氏の時代の焼きまわしのようなエピソードも、西村晃さんが演じると、それが新鮮な感じがした。旧来のファンのイメージを壊さず、新鮮さを出すのは、本当に名優だなと思う。

国民的長寿番組がどんどんなくなっていくのはさみしい。旧来のファンがイメージを崩さないことは絶対条件であるが、そのマンネリの枠の中でも、小さいサブライズを入れて、人気を回復してほしいものである。

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世界の自動車会社は多すぎる!?

2000年頃にある経済評論家が、「世界の自動車会社は多すぎで、日本に2つ、アメリカに1つ、ヨーロッパに2つの自動車会社が存続するのが、自動車産業の将来的展望からいって、望ましい姿だ。」と主張していたのを最近思い出す。

つまり、自動車産業の成長には限界があり、すでにその限界に達している以上、市場自体の拡大は不可能で、あとは既存のパイをどう分配するかという問題で、その結果が、日本に2社、アメリカに1社、ヨーロッパに2社ということだという理論のようだ。

実際に、日本もホンダとトヨタが純国産で、あとはルノーなどの海外系の傘下にある。この分析に説得力があるとは思う。

この話を、以前、私のアメリカ人の友人に話したことがあり、彼は、「確かに、その分析は正しいかもしれない。」と同意していた。

こののような時代が今到来しているのかもしれない。

GM・クライスラー、合併交渉を再開…米紙報道
12月18日13時32分配信 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081218-00000037-yom-bus_all
 

【ニューヨーク=池松洋】米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は17日、経営危機に陥っている米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーが合併協議を再開したと報じた。

 資金支援を検討している米政府に対して、再編の取り組みをアピールする狙いだという。

 両社の合併交渉は10月に表面化したが、当時は合併に伴うリストラ費用などの資金支援を米政府から得られなかったことから、11月に交渉中断を発表していた。

 しかし、その後の米国市場の販売不振から両社の手持ち資金の流出に歯止めがかからず、年内にも経営破綻(はたん)する危機に直面している。米政府に合併による合理化効果を訴えて、つなぎ融資を受けやすくする狙いがあると見られる。 

アメリカの自動車メーカーは、1980年代にジャパンバッシングが盛んだった時代からその技術力の革新力に陰りがある。以前にも指摘したが、自動車産業は特に新しい技術力を持っていない。技術力がなければ、他社に負けるのは当然である。アメリカのビッグ3は、金融など本業とは別の分野で稼いで、自動車という本業の赤字を補てんするような経営を続けていたのであり、破綻するのは当然だった。

不思議なのは、アメリカ国民の多くが、それに気が付いていなかったという点である。私の前述の友人は、「アメリカ国民のほとんどは、アメリカの自動車産会社が1社になるとは思わないだろう。アメリカ人はアメリカ社の技術は高いといまだに信じている」とも述べていた。国産寄りになる傾向があるにしても、客観的な分析は必要だったはずだ。

私は、ビック3には公的資金を導入するべきではなく、今回を機に整理しなければ、近い将来に、完全なアメリカ市場の破綻が迫っていると思っている。つまり、自由主義経済で、経済成長をしてきたアメリカが、仮に日本がかつて金融機関に対してやったような手法で公的資金を導入して救済したとしても、それは自らの理念である自由主義経済とは相いれないものであり、無駄な税金投入でしかないということである。

理想的なのは、ビック3を統合させ、ある程度整理縮小をさせる。その一方で、解雇された人の職能支援や再就職支援に公的資金を直接投入することだろう。

ニューディールのような大規模な政府による経済誘導は、グローバル化が進んでおらず、戦争産業が国の経済を牽引できた時代の話である。

オバマ政権が打ち出そうとしている政策は、100年に1度の愚策と評され、アメリカの国力衰退を招く恐れが高いと思う。

日本では、破綻の危機というマイナス面しか伝えられないが、感情論とは別に、経済原理からビッグ3を救済すべきでないと考えているのは管理人だけではないようだ。
http://diamond.jp/series/worldvoice/10033/?page=2

http://diamond.jp/series/siliconvalley/10013/

また、アメリカ政府も破産による整理を図るべきという考えなのかは気になるところである。

「管理破産」も選択肢に=ビッグ3支援で-米政府
12月19日8時51分配信 時事通信

 【ワシントン18日時事】米政府は18日、ビッグスリー(3大自動車メーカー)の支援問題で、つなぎ融資と引き換えにゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーを「管理破産」させる選択肢を含めて検討に入った。米メディアが報じた。政府とビッグスリーとの調整は最終段階にあるが、まだ決着は付いていないもようだ。
 ペリノ大統領報道官は同日の会見で、「(混乱を最小限に抑えて)軟着陸させる秩序だった破産のやり方はある。選択肢の一つだ」と発言。ただ、「必ずしもそう発表されるとは限らない」とも語った。
 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、政府がまず資金繰りが特に厳しい両社に数カ月のつなぎ融資を実施。その数カ月間に経営幹部ら関係者を集め、破産法一一条(日本の民事再生法)適用を申請した場合に取られる措置を詰める。
 これは事前調整型破産手続きと呼ばれるやり方で、申請後に債権債務の整理に着手する通常の破産手続きに比べ、迅速な再建が可能になる。ただ、法的整理に反対する経営陣や労働組合が同意するかどうかは不透明だ。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000039-jij-int

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12/18/2008

オバマ政権でもアメリカの景気回復は困難(環境・エネルギーバブルの危険性)

以前、アメリカの実体経済はレーガン時代には崩壊しており、今まではバブルを意図的に作出することで、マネーゲームのように、景気が良いように見せかけてきたという意見を紹介したことがある。これは、クリントン時代の土地バブル、ITバブルに始まり、金融バブルへと続いてきたという見解である。

そして、世界の基軸通貨がドルから他の貨幣に変わる事態が来るかもしれないという指摘も紹介した。

この懸念が現実のものとなりそうだ。

というのも、オバマ政権がエネルギー政策、環境政策に力を入れることで、バブルを作り出そうとしている点である。すでに、一部報道では、原子力による雇用創出を考えているということだが、これは非常に危険な賭けである。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000104-san-int

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000651-reu-int

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000031-mai-int

原子力発電などは、従来も存在しており、全く新しい技術ではない。にもかかわらず、これに投資を始めるということである。同じようにバブルを作り出そうということだろう。

しかし、そう簡単に現在の状況を打破できるはずはない。アメリカには、技術が非常に乏しい状況にある。新しい技術もないのに、投資をして雇用を創出しても、一時的なバブル状態を作り出すにすぎず、良くて一時的な景気浮揚。悪ければ、無駄な公的資金の導入となる。

もちろん、オバマ政権は、ブッシュ政権とは違う新しい政策として打ち出し、支持を得ようとするだろう。そして、アメリカ国民もそれにしばらくは熱狂するだろう。しかし、このエネルギー・環境バブル化計画はすでに、ブッシュ政権時代から考えられていたものである。そして、それが実現せず、石油依存型経済で良いと判断したのがブッシュ政権ともいえるだろう。

なぜ、実現しなかったか。これは、簡単なことである。エネルギー・環境バブルは技術的な実体が乏しいため、金融バブルと同様に不安定だったということにつけ加え、エネルギー問題は国民の生活に直結する経済不安を起こしかねない。

そこで、ブッシュ政権は、エネルギー・環境バブルを避け、別の手段を考えているうちに、金融バブルが崩壊してしまったのである。オバマ政権がやろうとしているのは一種のパンドラの箱かもしれない。成功する確率は低いばかりか、失敗すればとことんアメリカの国力が落ち込むことは目に見えている。

このままでは、この金融危機は3年以上続く第2次世界恐慌として教科書に載る日もそう遠くないかもしれない。

最近、アメリカ人の友人から日本はどうやってバブル崩壊から立ち直ったのかという質問をよく受ける。私は、この質問に対して次のように答えるようにしている。

1.日本の景気回復は一時的なもので、未だに脆弱性がある。それは、内需拡大ができ    ておらず、輸出企業頼みの景気回復だったためである。これにより日本もアメリカからの影響をたぶんに受けており、今後の景気は悪くなるだろう。

2.もっとも、日本の景気が一時的にしろ回復基調にあったことは事実である。この根本を支えたのは、日本の中小企業により牽引された技術革新にあったといえる。日本の中小企業の多くが日夜、技術革新とその伝承をしている。こうした技術力なくして国全体の景気は回復できない。

3.ビッグ3については、倒産か、企業の合併を促した上での公的資金の導入をしなければ、無駄金をつぎ込むことになる。アメリカに大手自動車メーカーが3社もいらないし、それだけの技術力がない。今後もその重みを背負いこむより、一旦整理した上で、その公的資金は、職能技術の開発と雇用対策に導入する方がはるかに効果的だと思う。

4.消費税など消費者が直接負担が軽くなったと思えるような減税をすべき。心理的要因がデフレに占める割合は大きい。これにより、内需拡大をすべき。

以上、4点の私見を伝えるようにしている。

なお、この見解に異論がある人もいるだろう。私は経済の専門家ではないので、ぜひ色々なご意見を伺いたい。

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報道機関の資質

この記事に対し、私は、「節度ある報道、どこへ?」と問いたい。

京都家裁の対応は至極当然のものである。捜査段階から加熱したメディアスクラムの方が問題だろう。隠蔽しているとかそういう話ではないと思う。

この記事に関わらず、あらゆる場面で、とにかく報道することが大事というような無節操なメディアの姿勢が物事の本質を捻じ曲げている気がする。

最近のマスコミの大柄な態度を見ていると、「椅子のない会議室」というくだりがあるが、マスコミ様には椅子を用意しろということなのだろうかとさえ思ってしまう。

<偽造判決文>書記官文書偽造 京都家裁だんまり 「敷地内入るな」 開かれた司法どこへ

12月11日17時25分配信 毎日新聞

 偽の判決文で凍結解除された銀行口座から現金が引き出された事件で、埼玉県警に偽造有印私文書行使容疑で逮捕された裁判所書記官、広田照彦容疑者(35)=京都市伏見区=が勤める京都家裁が沈黙を守り続けている。書記官の立場を利用した疑いが濃厚となり、家裁にも説明責任が生じているが、記者会見はおろか事件に関する取材は一貫して拒否。裁判員制度の実施を前にアピールしている「開かれた司法」とは裏腹な旧態依然の体質に批判の声が上がっている。【熊谷豪】

 「捜索は受けたが、逮捕されるとは限らないので一切コメントできない。閉庁日なので敷地内に入らないでください」。7日午前8時すぎ、埼玉県警が京都家裁を家宅捜索したことを受け、報道陣が宿直出入り口に詰めかけた。西村則夫所長による説明を求めたが、前田利範・総務課長補佐は拒絶した。

 県警が同日午後6時20分、逮捕を正式発表した後も「上級庁を通じて確認中」として応じない。午後9時になって、報道陣が集められたのは机も椅子もない会議室。家裁は「会見ではない」という理由で撮影を拒否し、カメラを置いて入室するよう求めた。

 家裁側、報道陣とも室内に立ったままの状態で、前田課長補佐が「極めて遺憾」とする所長コメントを読み上げ、広田容疑者の裁判所での経歴を説明。所長は庁舎内にいたが「事実関係が明らかでない」の一点張りで姿も見せなかった。

 報道各社はその後も連日のように取材しているが、家裁は事件にかかわることは一切「ノーコメント」。広田容疑者が起訴された際には所長が会見するよう要望しているが、家裁は「方針は未定。ご要望としてお聞きする」と言うのみだ。

 最高裁は「そもそも最高裁がコメントすべき事項とは思わないが、京都家裁では、捜査中で事実関係も明らかになっていない現段階では記者会見は差し控えたいと対応したということであり、この対応が不相当であったとは考えていない」とコメントした。

話し多少それるが、私がマスコミのこうした姿勢に疑問を感じるのには理由がある。それは、マスコミは自らの不祥事には一切鋭い詰問をしたり、事案の解明を尽くさない点である。

例えば.....

  • 自社の局アナによる不倫、横領報道、痴漢報道は追及されたのだろうか。
  • 自社の社員によるインサイダー取引について、その真相は十分に追及されただろうか。
  • 自社のブロデューサーによる暴行行為、痴漢行為の追求は十分だろうか。
  • 自社社員による変態記事を何年も配信していたことに対する真相追及は十分になされたか。
  • 自社のキャスター、さらにはオーナー的地位にある者の不適切な発言をマスコミは批判的に検証しているのか。

<傷害>読売新聞次長が酔ってラーメン店員暴行 容疑で逮捕--大阪府警天満署

12月16日16時56分配信 毎日新聞

 読売新聞大阪本社の地方部次長(45)が15日深夜、大阪市北区のラーメン店で男性店員にけがをさせたとして、傷害の疑いで大阪府警天満署に現行犯逮捕されていたことが分かった。同署によると、次長は容疑を認めているという。調べでは、次長は同日午後10時20分ごろ、ラーメン店で酔って寝入り、店員に起こされて支払いを求められたところ、怒って店員に暴力をふるったという。店員は軽傷。

 ◇読売新聞大阪本社広報宣伝部のコメント

 社員が逮捕されたことは誠に遺憾で、深くおわび申し上げます。事実関係を確認したうえで厳正に対処します。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000042-maiall-soci

私は、メディアがあたかも国民の知る権利に資する重要な機関であるというような趣旨で権利主張をするとき、いつも以上のような点について疑問を感じてしまう。

日本のメディアも、偉そうに報道する割には、他の多くの企業と同じで、コンプライアンス意識が低く、自戒ができず、自浄作用が十分に機能していないのではないだろうか。

国民の代表や世論の代表を自称するのであれば、もう少し、法令遵守意識を高めてもらいたい。

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12/17/2008

イギリス・ブラウン政権の最新の世論調査

関連ニュースの日本での報道。

なお、引き下げた税率は低いが、消費者への心理的な負担を減らすという効果は上がっているようだ。この発表がされたのが、11月14日。日本との対応の早さの違いは歴然である。

2兆9000億円景気刺激策 英、付加価値税17・5%→15%
11月26日8時1分配信 産経新聞

 【ロンドン=木村正人】ダーリング英財務相は24日、総額200億ポンド(約2兆9000億円)の景気刺激策を発表した。日本の消費税に当たる付加価値税の税率を12月から来年末まで現行の17・5%から15%に引き下げる減税が柱。現在182万人の失業者が来年には300万人に達すると予測される中、英経済を下支えするのが狙いだが、政府債務残高は1975年以降、最悪となる見通しだ。

 英国はサッチャー元首相のビッグバン以来、金融業を中心に経済成長を続けてきただけに、金融危機の影響は欧州主要国の中でも深刻だ。銀行への公的資金注入策で支持率を大幅に回復させたブラウン首相は次期総選挙をにらみつつ、次の切り札である財政出動に打って出た。

 単年度財政赤字は来年、1180億ポンド(17兆2200億円)に達する。国内総生産(GDP)の40%以内に抑えてきた政府債務残高も3年後には57%に拡大する。財政悪化を抑えるため、2011年に高額所得者を対象に増税を実施する。

 最大野党、保守党系シンクタンクは「公的年金などの負債を含めると政府債務残高は160%を超える」と批判している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081126-00000076-san-int

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金融危機の対応の違いでこれだけ、支持率が変わるということだろうか。

                               

イギリスのブラウン首相の支持率が回復しているとAP通信が報じている。デイリーミラー紙の最新の世論調査によれば、ブラウン首相の経済手腕が評価されたためか、支持率が41%に回復。野党保守党の党首キャメロン氏は29%となっており、引き離している。また、野党自由民主党のクレッグ党首は7%。

しかし、同首相の経済危機への対応に対する評価では、支持すると支持しないが45%で拮抗している。

政党別の支持では、依然、野党保守党が41%で4%増、与党労働党は36%は2%減、野党自由民主党は11%で、4%減となっている。

金融危機は、いわゆる大きな政府という傾向にあるリベラル政党にはある種追い風になっているようだ。ブラウン首相も、保守党からの同党の提出している経済刺激策(企業へのローンの拡充を柱とするもの)を採用すべきとの声に対し、議会で、「既に、政府は行動している。何もするなという保守党の政策は、金融危機に不適当である。」との反論をしている。

日本の麻生首相率いる自民党にも耳が痛い話ではないだろうか。景気対策をやるやるとという言葉だけは聞こえてくるが、実際に何一つ実行できていないことからすると、英国と比べると、政党や政治家としての力量の差を感じる。

PM takes lead over Cameron in poll

2 hours 16 mins ago

Prime Minister Gordon Brown has established a clear lead over Conservative rival David Cameron for his handling of the economy in the wake of his £20 billion give-away in the Pre-Budget Report, according to a poll. 

Some 41% of people taking part in the Ipsos Mori survey for the Daily Mirror named Mr Brown as the leader they trust most to get the country out of its economic problems, 12 points ahead of Mr Cameron on 29%, with Liberal Democrat leader Nick Clegg trailing on just 7%.

However, when asked whether they thought Mr Brown was doing a good or bad job tackling the economic crisis, the respondents split equally, 45% to 45%.

The poll showed Labour narrowing the electoral gap on the Tories by six points, compared to a survey by the same company for The Observer at the end of November.

It put the Conservatives on 41% (down two points), Labour on 36% (up four) and the Liberal Democrats on 11% (down four).

The survey echoes the results of a ComRes poll for the Independent on Sunday, which found the Conservative lead slashed from 11 points to just one in the space of a month, with Tories on 37% (down six), Labour on 36% (up four) and the Liberal Democrats on 14% (up two).

A separate poll for the Sunday Times showed a slight increase from 5% to 6% in the Conservative lead over the past month, with Tories on 41% (unchanged), Labour on 35% (down one) and Liberal Democrats on 15% (up one).

Ipsos Mori interviewed 1,007 adults by telephone for the Daily Mirror on December 10 and 11. ComRes interviewed 1,003 adults by phone for the Independent on Sunday on December 10 and 11. YouGov questioned 2,098 adults online for the Sunday Times on December 11 and 12.

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12/16/2008

ブッシュ政権の8年を振り返ってみて(1)

既に、みた人もいるかもしれないが、ブッシュ大統領がイラクの演説中に靴を投げつけられ、見事かわした映像が流れている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081215-00000065-jij-int

驚きの映像である。私が驚いたのは、このブッシュ大統領な機敏な動きである。近距離から2回も物を投げつけられても平然とそれをかわし、その後の表情も平然としている。また、直後に、「靴のサイズが28cmだった」などのジョークを飛ばす余裕も見せているという。

この他にも、Youtube上では、ブッシュ大統領の面白い映像が多くある。

ブッシュ大統領については、一般的に、批判的な論調が多い。ただ、私は彼への評価はそう簡単にできるものではないと思っている。

8年間も政権にいたのだから、その功罪はたくさんあるだろう。批判的な面はすでに様々な人がメディアなどを通じて発信しているので、私はあえてブッシュ大統領とこの政権を肯定的にとらえて、連載(計4回)という形で、評価してみたい。

今回(第1回)と次回(第2回)は、ブッシュ大統領が8年間も大統領職を全うした理由、特に2回の選挙を同にり切ったのかについて考えてみる。

2000年と2004年の選挙を振り返ることになるが、まず、第1回は、2000年にどうしてゴア副大統領(当時)を下すことができたのかを簡単に検証する。

2000年の大統領選挙では、①8年間のクリントン政権に対する不満が保守系の人々を中心に渦巻いていたことがあげられる。他方で、②リベラル系の人々にとっても、クリントン政権が打ち出してきた巨大な官僚機構と連邦政府のあり方に対し疑問が生じていた。

このような状況で、まず、前者のクリントン政権への不満をもつ保守系を取り込むため、ブッシュ大統領のカール・ローブ選挙対策顧問(当時)は、社会的保守(生活に保守的な価値を見出す人々)の潜在票発掘に尽力した。これが勝利の要因の1つだったといえる。

つまり、そもそもアメリカでは、人口の移動が激しいために、日本のような戸籍制度が存在しないため、行政の国民情報の管理には限界がある。すると、選挙人名簿も国民が自ら登録しなければ、何歳になっても投票権を取得できない。そして、実際の国民の選挙人名簿への登録数(有権者数)は、1億8000万人と言われているが、人口の約2/3以下である。そこで、ローブ氏は、未登録有権者で、かつ、社会的保守の人々や、登録はしていても選挙に行かない社会的保守の人々に着目し、その原動力を発掘したのである。

そして、社会的保守の人々は、保守系の中でも、とりわけクリントン大統領の政策はもちろん、モニカ事件を機に、不道徳なリーダーを毛嫌いする傾向が強かった。モニカ事件を利用する上でも、社会的保守はブッシュ陣営にとって絶好のターゲットであり、忠実な支持層の取り込みが期待できたわけである。

次に、後者のリベラル系で、クリントン政権に対する不満を持っている人をブッシュ陣営はいかに確保したのか。

まず、このグループは、社会的にはリベラルの価値を支持しつつも、連邦政府の介入という点においては、自由主義を支持する人々が多い。

クリントン政権では、自国産業の保護という政策が多く、日本の鉄製品などがやり玉に挙がったことがある。上記グループはこうした政府の介入を好ましく思っておらず、これ以上の民主党による行政には批判的であった。

こうしたグループにとって、ブッシュ陣営の自由主義的な主張はより受け入れやすかったという側面もあり、これらの支持を獲得していったといえるだろう。

以上は、有権者の属性に着目した分析である。

しかし、もっと重要なのは、候補者としてのキャラクターにあったということができるだろう。

まずは、ブッシュ大統領。上記動画でもわかるように、茶目っ気があり、国民に親しみやすい人物像である。悪く言えば、どこにでもいるアメリカ人という性格なのである。

クリントン政権では、リベラルのエリート的な人々が政治の中心で、アメリカの庶民にとっては、どこか置いてけぼりという感情があったのだと思われる。そんな中、ブッシュ大統領のキャラクターが、有権者に、親密感を与えたのではないだろうか。

他方、ゴア副大統領は典型的なエリートというキャラクターで、どこかお高くとまっているという印象を与えてしまった。

すなわち、ブッシュ陣営は、従来のリベラルVS保守という対立構造を、候補者のキャラクター重視の選挙戦略で、エリートVS一般国民という対立構造に転化させて、選挙戦を勝利したというのが私の分析である。

そして、このキャラクターは今も健在だということが、上記動画からも明らかだろう。

次回は、2004年の大統領選で、民主党ケリー候補に勝利した理由を検討してみる。

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12/15/2008

裁判官の声

日本裁判官ネットワークという団体がある。

http://www.j-j-n.com/

この団体のHPに、『オピニオン』という項目があり、その中の『例会報告・映画「それでもボクはやってない」を巡って』というものをぜひ見ていただきたい。

既にみたこともある方がいると思うが、この映画は1,2年前に公開されて話題となった。ぜひ裁判員制度が始まる前に、この映画は見ておいてほしいと思う。裁判員制度には様々な問題点が生じるだろうが、この映画を見れば、今の制度でも決して問題がないわけじゃないということがわかるだろう。

              それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD] 

むしろ、市民感覚とは良くも悪くもズレがある職業裁判官に完全に任せている方が問題があると感じる人も出てくると思う。

映画を見た上で、上記のHPで、現役裁判官等と周防監督との会談を見てもらえると、刑事裁判をする裁判官も人間なんだなということがわかる。

その中でも、慣れの怖さを指摘する裁判官の声がある。慣れにより有罪判決が簡単に出される現行制度で本当に良いのだろうか。ぜひ、裁判員制度が面倒だとか、やりたくないということから批判したり反対したりせず、こうした問題も考えてほしい。

なお、そこでは裁判員制度についての議論もされている。特に、安原裁判官の意見や市民Iという方の意見はとても説得的だと感じた。非常に有益な議論がなされている。

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12/14/2008

ヨーロッパで進む経済対策(首相のリーダーシップの違い)

日本の総理が支持率を失い、感じを読み間違えている中、世界中の先進国首脳は既に連携して具体的な金融危機への対応に入っている。

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まず、イギリスのブラウン首相。以前のブログでも紹介したが、消費税を2.5%引き下げることや欧州連合と連携した金融救済法案の成立に向けた努力をしており、それが評価されて、今回支持率が40%に回復した。

以下、その記事の要約。

12月9日に発表された世論調査によると、ブラウン政権の支持率が前回と比べ、6%回復し、40%をキープしている。これに対し、野党保守党の党首であるデビット・キャメロン氏に対する支持率は31%にとどまっている。

さらに、政党支持別にみると、野党の保守党が39%であるのに対し、与党労働党は35%で前回11月24日に行われた調査と変わっていない。

今回支持率が回復した原因は、ブラウン政権の予算準備報告書が評価され、経済的危機に労働党が対処できると評価されたことによると記事は伝えている

次に、ドイツのメンケル首相。

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ドイツの金融相からイギリスのブラウン首相の金融危機対策への不満(消費税引き下げは景気刺激にならず、将来の国債を増やすだけで、120億ポンドの経済対策も効果がないというもの)が出ていたが、メンケル首相はこの声には耳を貸さず、ヨーロッパ全体の景気刺激策へ同意する署名をしたとのことである。

これにより、2000億ポンド規模の景気刺激策と大規模減税がヨーロッパ全体で金融危機対策として行われる見込みである。元の英語記事はこちら

そして、我が国。麻生総理の支持者の読者がいれば申し訳ないが、この記事にある民主党の小沢代表の批判が的を得た分析だろう。

「今日の状況救えない」…追加景気対策を小沢代表が批判

12月14日19時39分配信 読売新聞

 民主党の小沢代表は14日、石川県小松市で記者団に対し、麻生首相が12日発表した総額23兆円規模の追加景気対策について、「金額だけ膨らまして言っているが、実際に今解雇されている人たちの雇用を保障できるのか、年の瀬で資金繰りに困っている中小零細企業の人たちを助けることができるのか。あの中身では到底、今日の状況を救うことはできない」と批判した。

 そのうえで、「(首相は)『スピードが大事だ』と9月末から言っていて、この3か月間いったい何をしてきたのか。何ら有効な景気対策を打ち出せないで、政府・自民党が大きな政治空白を作ってしまった」と指摘。衆院解散・総選挙の時期について、「もたもたして何もしないんだったら、早く(衆院解散)総選挙をして、強力な政治態勢を作ってくれというのが国民の意見だ。衆院選を年明け、いずれ近いうちにやらざるを得ない」との見通しを示した。

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内定取消と労働者保護

以前も内定取消について書きましたが、日本総合地所が補償金100万円を支払ったそうです。

「内定取り消し」日本綜合地所が初の説明会、学生から怒りの声

12月13日20時41分配信 読売新聞

 マンション分譲大手「日本綜合地所」(東京都港区)が景気悪化を理由に来春採用予定の大学生53人全員の内定を取り消した問題で、同社は13日、取り消し者に向けた初めての説明会を本社で開いた。

 西丸誠社長は「家族として皆さんを迎えるつもりだったが、申し訳ない」と謝罪したが、学生たちからは「納得できない」と改めて怒りの声が聞かれた。

 この日は53人のうち31人が出席。10月1日に内定式を開いたばかりの会場で、西丸社長は「10月中旬以降にマンションの契約数が激減し、経営の先行きが不透明になったため」などと、急な取り消しについて釈明したという。

 学生たちは同社から補償金100万円を受け取ることになったが、不満は収まらない。

 建築専攻の男子学生(22)は「不動産業界では新卒の求人受け付けがほとんど終わっている。今は職種を選ばず履歴書を送っているが、こだわりを捨てていいものかと迷っている」と不安を口にした。

 関西の大学に通う男子学生(22)は「来年4月から働きたいが、間に合わないかも」と肩を落とした。補償金については「お金をもらっても、就職が決まるわけではないから」とやりきれない表情を浮かべた。

ブログが変わったので再度説明します。

内定取消がなされた場合、学生としては、①従業員たる地位の確認請求や②損害賠償請求、③入社式がある4月1日を過ぎた場合は、賃金支払い請求をすることが考えられます。

一般的に内定の法的性質は、実体が多様なので、事案に即して個別的に判断する必要がありますが、通常の日本における内定の場合は、内定通知のほかに労働契約締結のための特段の意思表示を必要としない場合が多いため、内定通知により、解約権留保の労働契約が成立している考えられます。

つまり、企業の求人広告が「申込の誘引」であり、これに対し、学生がエントリーすることが「申込」に当たり、内定通知が「承諾」に当たるため、承諾たる内定通知が発せられた時点で契約が成立する(民526条1項)ということです。

したがって、内定の取消しというのは、この留保された解約権の行使ということになりますが、この行使は、解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当と是認できる場合に限り認められ、それに違反があれば、解約権の権利濫用(労働契約法3条5項)となります。

解約権の行使が認められる具体的な場合としては、①内定後の事情の変更や②内定通知当時知ることが期待できなかった新事実が判明し、取り消すことが合理的と言える理由がある場合などに限られます。

経営の悪化を理由とする取消の場合、内定後の事情の変更を根拠として解約権の行使が正当であることを会社側は主張することになります。

正当かどうかは、(a)人員削減の必要性や、(b)取り消しを回避するために会社がどのような措置を尽くしてきたか、(c)取り消し対象者の選定基準に合理性があるか、(d)内定者との協議はあったのかなどの要素*を丁寧に検討し、解約権の権利濫用に当たるかどうかが判断されることとなります。

10月1日の内定式直前まで、何も知らせずに、その後に一方的に内定を取り消したような場合は、解約権の権利濫用として、取り消しが違法・無効となり、その結果、雇用契約が存続し、4月1日の入社となる基準日を超えていれば、実際に学生が社員として働いていなくても、賃料請求権も発生し、会社側はそれを支払わなければなりません(民536条2項)。

もっとも、その間に別の会社に勤めていたような場合は、中間収入が認められるため、副業的なものでない限り、民法536条2項後段の償還の対象となり、一定限度(4割程度)控除される可能性があります。

なお、企業は、従業員たる地位の確認請求や賃金支払い請求だけを受けるわけではありません。もちろん、こんな会社には働きたくないと思う人もでてくるでしょう。

そうなると、企業は、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求(この場合の被侵害利益は、当該企業で働く期待権や将来の賃金債権の侵害など)や労働契約の成立を前提にそれを不当に破棄されたということで、415条の債務不履行責任に基づく損害賠償請求訴訟を受ける可能性があります。

会社にとっても、訴訟が長引けば、訴訟費用はもちろん、イメージダウンにもつながります。安易な判断での内定取消にはかなりのリスクがあることを会社側は認識した方がいいでしょう。

内定取消による学生の不利益は甚大です。仮に、このブログを読んだ方の身近に内定取消の被害にあわれた方がいらしたら、泣き寝入りせず、とりあえず各都道府県にある厚生省の労働局の相談窓口に相談してみることをお勧めします。また、各弁護士会の主催する無料法律相談なども活用されると良いでしょう。

・東京労働局 
http://www.roudoukyoku.go.jp/advise/index.html

・その他の地域の労働局のリンク
http://dir.yahoo.co.jp/Government/Agencies/Executive_Branch/Ministry_of_Health/Labor_Standards_Bureau/?frc=wsrp_jp0011

なお、詳しくどのような法的保護を労働者が受けられるのか知りたい方は、書籍紹介にもある以下の本が、平易で信頼できる記述なので、参考になると思います。

*要件として4つの事情を考慮するのか、要素として考えるのかという議論がありますが、現在は、要素として総合考慮しようという要素説が裁判例(名古屋高判平成18年1月17日、東京地判平成17年2月23日など)で増加しています。
学説上もこれら4つの点を要素と考えることを前提に、1つでも欠ける場合は特段の事情がない限り無効と考えるべきという見解が現在では有力なようです。
したがって、ブログでも要素説にたった説明をしています。

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12/13/2008

責任転嫁するマスコミ(裁判員制度の報道から)

さて、ココログで日本語の記事は初めてです。途中で消えたりしないことを祈りつつ・・・

最近、裁判員制度を取り上げるメディアが多くなってきました。そのうちの多くは、どちらかというと消極的な視点で、批判的に取り上げるものです。

この制度について、皆さんにも色々な考えがあるかもしれません。この制度の是非は置いておいて、私がこの記事で指摘したいことは、議論が遅すぎるのではないかということです。

既に4年前にこの制度が行われることが決まりました。そして、法曹三者を含め関係者はこの制度を導入すべく色々な活動をしてきました。しかし、マスコミはこの制度を一切報道してきませんでした。にもかかわらず、裁判員制度がいよいよスタートという時期に、初めて取り上げ始めて、制度の根本的な問題(市民が人を裁けるのか等)を指摘し出しているのです。

これでは、マスコミとしての機能と責任の放棄としか言いようがありません。読売テレビのある番組の司会者は、制度がやっと見えてきたと発言していました。
これは大間違いです。

すでに、4年前に制度はしっかりと示されていたし、法律もできていたのですから、根本的な問題についてはもっともっと早く警鐘を鳴らすのがマスメディアの責務だったのではないでしょうか。

私は裁判員制度には基本的に賛成の立場ではあります。ただ、疑問点がないわけではありません。ですが、マスメディアの節操のない無責任な報道を見ていると首をかしげたくなるのは私だけでしょうか。4年も猶予があったわけです。

この間、制度の根本的な批判をする人やマスコミは何をしてきたのをまず振り返ってほしいものです。
もう少し建設的な報道というのはできないのでしょうか。

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今日からココログです。

ヤフーブログをしばらく使っていますが、どうも使いにくかったり、反応が遅く、不満がたまってきました。笑
以前まで、Bloggerを使っていたのですが、やはり、英語用ブログのための機能が多く、日本語ユーザーも少ないのが問題です。ヤフーの方が利用者が多く、記事を読んでくれる人が多いかなーと思ったり悩んでしまいます。
そこで、色々考えた結果、一番使いやすそうなココログを使うことにしました。なぜココログにしたかというと、2Gまで無料ですし、機能が使いやすいということです。

従来使っていたヤフーブログはこちらです。
ブログ名も今回変えました。
虎穴に入らずんば虎児を得ずという言葉の英語版がこのことわざです。
チャレンジ精神をいつまでたっても忘れないという思いを込めて今回一番好きな言葉をブログのタイトルにしました。

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