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12/25/2008

ブッシュ政権の8年間を振り返って(4)― ブッシュからオバマへ

さて、最終回は、ブッシュ政権から移行するオバマ政権にスポットを当てて、検証したい。

「ブッシュ政権の8年間を振り返って(2)」の中で、ブッシュ政権内での、穏健派と強硬派の対立を紹介した。

オバマ新政権でも、この対立は逆の形で起こりそうだ。というのは、ブッシュ政権内では、保守の穏健VS強硬という対立だったが、オバマ政権は、リベラルの穏健VS強硬という形になる。

オバマ次期政権、米通商代表部代表にカーク元ダラス市長起用へ 
12月19日9時32分配信 産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】オバマ次期大統領は、次期米通商代表部(USTR)代表に元ダラス市長のロン・カーク氏(54)を次期労働長官には、民主党のヒルダ・ソリス下院議員(51)をそれぞれ指名する方針を固めた。米主要メディアが報じた。19日の記者会見で発表される見通し。

 カーク氏は1995年から2002年まで黒人初のダラス市長を務めた。北米自由貿易協定(NAFTA)を支持し、地域貿易の拡大を推進した。オバマ氏は貿易問題でNAFTA見直しを掲げてきた。多国間、2国間の通商交渉を担当するUSTA代表へのカーク氏の起用で、次期政権が自由貿易路線を進むという見方が上っている。

 一方、ソリス氏はカリフォルニア州選出のヒスパニック系女性。下院ではエネルギー商業委員会に所属し、NAFTAには強く反対してきた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000522-san-int

現在、アメリカはかつてない経済危機にある。これは9・11テロ事件のときと同じくらいの衝撃なのだが、アメリカ国民の多くはそれを未だに実感していない。問題は、こういう未曽有の事態であるにもかかわらず、挙国一致政権にはなることは非常に困難だということである。

この人事からも明らかのように、経済政策においても、リベラル派で、カーク氏のような自由主義的政策を是とする人々がおり、これに対しては、共和党の保守系議員から支持を得られるだろう。

他方、ソリス氏のような保護主義を主張するリベラル強硬派も、労働問題を扱う部署の長になっており、これに対しては、民主党のペロシ下院院内総務などリベラル強硬派の支持は得られるにしても、経済政策をめぐって対立を深めることが予想される。

オバマ氏は1つのアメリカを主張したが、人事の起用を見ていると、予備選からオバマ氏を支持した人への論功褒賞的な面が強く出ている。これに対しては、ヒラリー氏を登用したという反論もあるだろう。

しかし、外交面の問題と内政面の問題は別である。そもそもアメリカの外交は、大統領選などで争点になっても、政策で大きな違いはでてこない。選挙戦で争点になるのは、大統領候補に外交能力があるかどうかということであって、実際に政権がスタートすると、大きなシフトは急激にはできない。

オバマ氏も予備選から本選挙、当選後と、テロとの戦いについてのニュアンスは変わってきているし、イラク撤退をしても、アフガンへの駐留は継続すると言っているので、アメリカ国民が望んだようなChageは起こり得ないだろう。

そして、それを裏打ちするように、外交面での重要ポストは、共和党のゲーツ国防長官も再任が決まっているし、クリントン氏も上院時代をみると、外交面は保守的になっている。

つまり、外交面での政権内の対立は、オバマ氏が『余計なこと』をしない限り、それほど表立つことはないだろう。

したがって、問題は内政面での政策、とりわけ、経済閣僚の経済政策の考えなどがアメリカの今後を占ううえで重要である。政権内での経済政策への対立が深まれば、それは、上院への議決に影響が出る。

日本と違い、アメリカのの上院議員は、党議拘束にほとんど拘束されない。選挙後、民主党が7,8議席リードしているものの、うち2名は無所属で民主党と統一会派を組むだけであり、5人の造反者がでれば、法案は通らない。

オバマ政権が経済政策で、過度にリベラル強硬派の政策に耳を傾け過ぎると、上院の保守系民主党議員が反発して、法案はつぶされる可能性がある。特に肥大した政府を嫌う傾向は民主・共和を問わず、上院議員には見られる。

以上のような状況からすると、メディアでは、オバマ次期大統領への期待は過度になっているが、私は、ふたを開ければ、「それほど変わらない」と実感するか、「大きな失政をする」かのどちらかだと分析している。

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