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12/22/2008

ブッシュ政権の8年間を振り返って(3)

第3回は、2004年から2008年のブッシュ政権を既存のマスメディアの価値先行的な報道とは一線を画した見地から検証する。

第2期ブッシュ政権は、国内世論が二分されている中、より保守色の強い政権運営をスタートさせる。

まず、パウエル国務長官が辞任し、より保守的でタカ派のライス氏がその職についた。もっとも、ライス氏は民主党支持者だった過去もあり、ラムズフェルド国防長官などのネオコンのようなタカ派ではない。

また、ライス長官はの専門はロシアなどであり、北朝鮮問題の解決には、それほど積極的な姿勢を示さなかった。

他方で、イラク戦争などの外交面で思うような成果が出ず、それにより共和党の支持者が減少することにつながり、ブッシュ政権は外交面で焦りを見せ始める。

中間選挙が2006年に行われるが、下院・上院で民主党が過半数を取ることとなる。これにより、政権の中枢にいたラムズフェルド国防長官が辞任。この辞任は、イラク情勢での米兵死亡者数が増加したことに起因した中間選挙敗退を理由とする事実上の更迭だった。

また、2006年頃を機に、ブッシュ政権は、多くの閣僚やホワイトハウススタッフを入れ替えるなどするものの、支持率の回復は図れず、求心力は低下する。また、辞めた閣僚やスタッフから、本当はイラク戦争を支持していなかったなどの責任回避の発言や暴露本が飛び出したことも、求心力低下につながった。

2007年の後半から2008年にかけては、全米のメディアが次期大統領選に注目し、ブッシュ政権は、外交政策でも従来のような強硬な姿勢が取れないというジレンマに陥った。つまり、ブッシュ政権は2006年の中間選挙敗退を機に、死に体政権の運命を歩むこととなってしまう。

もっとも、第2期ブッシュ政権にとって朗報だったのは、大陸ヨーロッパの親米化である。

冷え込んだドイツ・フランスとの関係が、シラク大統領の退任と親米派のサルコジフランス大統領の就任、シュレイダー首相の退任とメルケル首相の就任により、大陸ヨーロッパとの関係修復が進んだ。

このヨーロッパにおける親米化は、①いわゆるド・ゴール主義が機能せず、長期の支持は得られなかったこと、②内政の不満を外交政策での反米姿勢で紛らわそうとした前政権の戦略が失敗したことにあると考える。

つまり、ドイツもフランスも国内景気が悪く、当時のシュレイダー政権やシラク政権は、失業率の問題など内政の難題を解決できないという批判を、反米の外交政策で誤魔化そうとしたが、結局国内問題を十分に解決できないことから、支持を失ったとのである。

このように、欧州と米国の関係改善は、NATOでの連携強化につながった反面、ロシアとの対立を招く。ライス氏の専門分野でもあることから、積極的な外交をブッシュ政権は行おうとするが、やはり、イラク情勢が足かせとなってしまう。

以上のような分析をすると、私は、近年、アメリカ国内とヨーロッパ国内の世論には、ある種のタイムラグがある気がする。

ヨーロッパで、シュレイダーやシラクというリベラルまたは穏健保守政権下での失業率が問題となっている時期に、アメリカは保守政権であるブッシュ大統領の下、9・11テロを経験しつつも、金融バブルを起こし、好景気を維持する。その後、ヨーロッパで保守政権が誕生すると、アメリカはオバマ氏率いるリベラル政権を望む。

こうした世論のズレが、どのような影響を及ぼしているのか不明であり、今後も考えて行く必要があると思うが、直感的にいうと、このズレが国際社会での不安定さを出している気もする。つまり、欧米が一致した行動をとらないことにより、冷戦後のアメリカを基軸とした世界秩序が乱れているのではないだろうか。

このズレは、今後も続きそうだ。イギリスでは、保守党の方が支持率があるし、メンケル首相やサルコジ大統領も順調な政権運営をしている。他方、アメリカでは、チェンジと訴えたオバマ氏が大統領に就任する。

混迷を深める世界経済を目の当たりにし、欧米が世論のズレを克服し、協調して有効な国内経済刺激策をとることができるかが問われるのかもしれない。

次回(最終回)は、ブッシュ政権からオバマ政権への移行というテーマ。

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